第5話 ふつうって、なんなん?

 朝はレイちゃんママが学校の近くまで車で送ってくれる。

 コウキ君の学校の近くまで来たとき、コウキ君は友達が歩いているのを見つけておろしてもらった。

「ええー!すっごい美人なんですけど、あのおとこのこ!ふたりそろって天使!」

 はなぢぶーのいきおいです。コウキ君の友達。そしてあのこ…

「キラリちゃんに似てるでしょ?」

 レイちゃんがにやにやと言ってくる。そう、まるでキラリちゃんを少しちいさくしてボーイッシュにしたかんじ…

「わたし、キラリちゃんは有栖川一族だと思ってるのよねー。彼、有栖川綺羅君っていうんだけど、綺羅君と血のつながりがないなんて信じられない」

「綺羅君のお兄ちゃんもかっこいいのよー。綺羅君とはちょっとタイプが違うけど。次期公爵様よ。」

 レイちゃんママもくちをつっこんでくる。

 レイちゃんが綺羅君のとなりにいる女の子に手をふっている。女の子もわらって手をふりかえしてくれている。

「綺羅君のお姉ちゃんよ。ミヤビちゃん。公爵令嬢よ」

 …お姉ちゃんはふつうだな…きわめてふつうなわたしがいうのもなんなんですが。イケメン兄と美形の弟…て、自分にいたらどうよ?うれしい?うっとうしい?てか、ふつうってどういうこと。

 ふつうでいいじゃんねー。わるくないよ。なのになんか残念なかんじをかもしてるってどういうこと?

 ふつうじゃないのはおかしいっていってみたり、ふつうだと残念だったり…どういうこと?

 わたしは自分で自分をふつう認定しちゃってるけど、それでいいのか?可能性をつぶしてないか?ひとにレッテルをはってないか?とかぐるぐるしてるとレイちゃんが

「じゃあ、こんど一緒に行こうよ。」

「え?」聞いてなかった。

「どこに?」

「公爵令嬢主催のお茶会よ」

「ええー無理無理無理。来ていく服がないし…手土産も…どうしたらいいの」

「大丈夫大丈夫。ミヤビちゃん、そんなかしこまったひとじゃないし。招待されるひともミヤビちゃんの友達だけだし。公爵家主催のちゃんとしたお茶会ってわけじゃないんだから」

「いやいやいやいや、わたしなんかが」

「わたしなんかっていうのだめよ。おてるちゃん。行ってらっしゃい。」

 最後はレイちゃんママにたしなめられる…

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