この世界の真実
ドカ!
地面に叩きつけられるような感覚で目が覚める。
「いっ・・・て~。なんだ?」
寝ぼけ眼をこすり、周りを見る。
「ん?檻か?」
周りを見渡すと檻の外にロメオの姿が見えた。
「ん?俺が檻にいるのか!?」
自分が檻の中に囚われている。
そう気づくと一気に眠気が覚めた。
「ろ、ロメオさん!これどういうことですか!?」
「おや、目が覚めましたか。あなたはこれから奴隷として売られるのですよ。」
「は!?何で!?」
「あなた・・・お金を借りてるじゃないですか。」
「は!?それは冒険者として返すって話ですよね!?」
「・・・ああ!?」
今までの姿から想像が出来ないくらいにドスの利いた低い声と鬼の形相に変わった。
「てめぇ!ふざけてんのか!?いつ死ぬかも解からねえ冒険者が借金返せるわけねぇだろうが!」
「ひぃ!」
「異世界から来たからって冒険者になれると思ってんのか?その根拠は何処にある!?
てめぇが英雄になれる根拠が何処にあるっつうんだ!」
蹴りが飛んでくるが檻に阻まれ届かない。
「異世界から来たってのは本当だとして、てめぇにどんな力があるんだ!ああ!?」
「そ・・それはこれから・・・」
「ふざけんじゃねぇ!てめぇがそうなる保証が何処にある!?」
反論が出来ない。
「こっちは慈善事業じゃねぇんだ。金借りたら返せよ。」
「じゅ、10ゴールドですよね?なら働いて・・・」
「ふざけんな!借りたら利子つけて返せよ!」
「い・・・いくらですか?」
「占めて10万ゴールド!おら、返せよ!」
「はあ!?何でそんなに増えてるんですか!?違法だ!」
「ああ!?俺の金貸しのルールはそうなってるんだよ。」
法律と言っていたがこの国の法律とは言っていない。
完全に悪徳金融のやり方だ。
「でも人身売買なんて違法だろ!」
「てめぇ、この国の法律知ってんのか?」
確かに知らない。タダヒトの言う法律はニホンの法律で、この国の法律ではない。
もしかしたら人身売買の法律が存在しないかもしれない。
「こんなの非人道的だろ!」
「借りた金も返せねぇやつが人道とか言うか!ハッハッハッ!」
ロメオの笑いに釣られて周りから大きな笑い声が起こる。
「恨むんならてめぇの無知と無能さを恨むんだな。」
その言葉に悔しさと涙が溢れてきた。
「おい!連れて行け!」
馬車が檻を引き動き出す。
「いやだ!たすけて!だれか!だれか~!」
そう叫び、檻を壊そうとしたが、首輪から電流が流れる。
「うぎゃ!」
タダヒトはそう叫ぶと泡を吹いて倒れた。
「ふん、アホな異世界人だったぜ。自分が英雄になれるとか本当に思ってやがるとはな。」
「ボス。また次の獲物が来たみたいです。」
捨て台詞を吐くロメオにカウが報告する。
「なに?また異世界人か?」
「かもしれません。転移魔法の波動を感知しただけですので詳細は追々。」
「ああ、わかった。・・・くっくっくっ、せいぜい俺の私腹を肥やしてくれよ、アホな異世界人ども。」
奴隷No.xxxxxx
名前 :ミナシ タダヒト
性別 :男
年齢 :不明(成人)
職業 :自称冒険者
特徴 :異世界人
備考 :下働き要因です。
伝説の英雄と同じ硬貨を持っていたことから、
異世界人と思われるが、魔法も武器も使えない様子。
異世界人であるため我々より頑丈で小間使いとしては他より使えるでしょう。
そのため、日ごろの不満のはけ口としても有効。
頑丈なため、より長くお使いいただけます。
異世界召喚失敗!? 猫フクロウ @cat_owl_nobel
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