堅実な舞台で繰り広げられる謎めいた関係

 多くの冒険者が活動する都市ベイファスを舞台に、そこを訪れた冒険者であるトゥハットと、その周囲で巻き起こる出来事の物語。

 読み始めて最初に抱いた印象は、舞台設定が細やかだなということ。
 昨今様々なファンタジーに出てくる冒険者という仕事ですが、何故そのような仕事が作中で求められ、ベイファスに集うのか、しっかりと定まっています。
 
 次に注目したのは登場人物の人間関係でした。
 各人が利害関係にて結びつき始めてゆくものの、裏の顔がなかなか明かされないもどかしさ。 秘密の一部を知る読者として物語を俯瞰していると、ハラハラとしてきます。

 とても完成度の高いお話です。