センスの塊。タイトルから結びの一文までが計算されている。

愛の輪郭を辿って浮かびあがらせるような作品で、この文字数なのにしっかりと二人のキャラクターと愛情、関係性が伝わってきました。書きたいこととその表現がメタ的に噛み合い、更にそこへ造語というオリジナリティーを加えることで、ほかにない作品になっていると思います。この世で最も普遍的な概念は愛か死になると思うのですが、共感性を担保しつつ陳腐にならないことは高度な擬似が要求されます。この短編はその部分をしっかりクリア出来ています。この二人って与えるものと受け取るものなので、一見関係が不均衡に見えるんだけど、ちゃんと受け取って大事にしていることが示されるだけで読者の側もカタルシスが得られるんですよね。愛だよ。個人的には、耳馴染みのいい造語が作れることもセンスがあるなと。


(カクヨム公式自主企画「百合小説」/文=斜線堂有紀)

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