エピローグ

みなさんこんにちは。十二歳になったリーゼロッテです。


何で『リーゼロッテ』なのかって?

今は両親のお墓参りに来てるからだよ。


季節は春。

まだ森に雪は残ってるけど、もう雪解けを待つばかりです。

だからお墓の周りを雪かきして、久々のお墓参り。

ネージュも今頃、雪かき終わってお墓参りしてると思うよ。


冬の間はお墓参りに来れないから、今日は久々に両親に報告です。


父ちゃん、母ちゃん、私、十二歳になったよ。

今はね、この領の事業統括なんておかしな肩書あるけど、私自身は二人の跡を継いだ薬医師のつもりだよ。


一時期は領政が大変で薬医師のお仕事出来なかったけど、ちゃんと再開したからね。

午前中はお城で領政とかやりつつポーション作って、午後は街の診療所で薬医師してるんだ。

今じゃお弟子さんも出来て、私、師匠なんだよ。

少し前までは『師匠』呼びされるのが嫌だったんだけど、少しは自分の技術に自信が持てたから、今は師匠呼びを受け入れたの。


最初は隣街の三人とシスター一人を教える予定だったのに、気付いたら診療所の常駐医さんと看護師見習いのメイドさんたちも教えることになっちゃって、診察室が人でいっぱいなの。

おじいちゃん先生が通い詰めで協力してくれてるから何とかなってるけど、私の担当する患者さんの数が七割くらいになってるんだよ。

だって、本来別の診察室で診察してるはずの常駐医さんまで私の後ろで見てるんだもん。


しかも診察中も質問が飛び交うもんだから、答えてるだけで患者さんへの説明になっちゃってる状態。

カルテの記入や軽い処置はみんながやってくれるとはいえ、女神様にレベルアップしてもらってなかったら魔力足りないところだったよ。


元工房棟組も、きっと王都でこんな目に遭ってたんだろうね。

でも王都では忙しさがかなり緩和されたみたいで、今度シャルちゃんとマギ君が遊びに来てくれるんだよ。

まあ、本当の目的は、マギ君のお母さんに会いに来るんだけどね。


そのハンナさんには、私もいっぱいお世話になってるの。

ハンナさんは今、お城でメイドとして働いてるんだよ。

『横暴な貴族は嫌いだけど、ここは嫌な感じが全くしないから』って言ってくれたんだ。

ここを褒めてもらって、すごく嬉しかったよ。


ハンナさんには私のおうちを管理してもらってるんだけど、毎日スライムぷすってるから、今はレベル9なの。

そして父ちゃんと母ちゃんが残してくれた小屋で、お薬づくりもしてるんだよ。

私がなかなか小屋を使いに行けないから、『遊ばせとくのはもったいない』って言って、通常薬作り始めたの。


私が使うんじゃなくてごめんね。

でも、確かに遊ばせとくのはもったいないからね。

ハンナさん、今はポーションづくりまで始めちゃって、そのうちハイグレードポーションも出来るようになりそうなんだ。

エレナちゃんも9.0や軟膏・丸薬作れるようになって来たし、診療所のメイドさんの中にもお薬づくりしたいって言ってる子が二人いるの。


マギくんの、お薬増産計画も順調に進んでるみたいだし、父ちゃんと母ちゃんが二人で始めたお薬づくり、今は沢山の人が引き継いでくれてるよ。

そして母ちゃんが教えてくれた治療方は、みんなが絶賛してくれてる医療魔法の基礎になった。

父ちゃんが教えてくれた戦い方は、私だけじゃなくソード君や兵士さんの命も守ってる。


ありがとうね。父ちゃん、母ちゃん。

私は二人の子供に生まれて、すごく幸せだよ。


それと、長い事二人の死を受け入れられなくて、心配かけてごめんね。

これからはソード君が私を幸せにしてくれるって言ってくれたから、安心してね。

今度からは、ソード君が私を幸せにしてくれた内容を報告に来るよ。


それじゃあ、またね。



完。


――――――――――――――――――――――――――――――――――


辺境シリーズ、これにて一応完結となります。

素人の拙作をお読みいただいた皆様、星やハートを下さった方々に感謝申し上げます。


作者 拝

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

辺境薬医師の躍進5ヵ年 やっつけ茶っ太郎 @chimilunamiy

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ