書の船出…網に掛かるは。

恰も、浮世絵のような昔話から
  いかにも恐ろしげな怪談、
 西洋の絵画のような寓話、そして
流れる様な見事な手際によって成される
 世の東西を問わない創世記。

どれも不思議と怪奇とに満ちていて、
それでいて美しく底光る。

奇妙な物語ばかりを集めた短編集だが、
 作者の確かな筆致により、更に色濃く
心に残って行く。
 こういう作品が多くあると良いし、
多くの人達に読まれ学ばれるのが良いと
 熟く思わされる作品集。

品格とユーモアが同居する。

物語を愛する者であれば、是非とも
  お手に取られることを。