第3話
白馬は背中にズィーベンを乗せて空へ駆け上がった。空高く昇り、この山の白い岩肌の頂上へ向かった。
ズィーベンは頂上から下界を見下ろした。太陽と月が笑っている。他の山々も微笑んでいる。
ズィーベンの蒼き鎧も輝き始め水晶の剣も太陽の陽を受けて本来の姿を現した。
白馬はズィーベンの隣に寄り添って、ズィーベンに下を見るように言った。
なんと、雲海の中から餓鬼達がこちらに向かってきている。数えきれないほどの数の餓鬼達が四方八方に見える。太陽と月が交代する時間に山がオレンジに染まっている。
ズィーベンは緊張しながらも白馬の頬に手をやった。白馬もズィーベンを見つめた。
そして、ズィーベンと白馬を囲うように餓鬼達が群がったが攻撃はしてこない…。
一人の餓鬼が前へ出て、ズィーベンと白馬の前に膝まずいた。それに従って一斉に餓鬼達は膝まずいていった。皆、武器を捨てズィーベンと白馬を仰いだ。餓鬼達はズィーベンとカリヴァーの生まれ変わりの白馬には勝てないと悟ったのである。数ではなく生きる力の前では自分達は無力だと気付いたのである。
それを見ていた狂った雲は渦を巻きながら辺りの雲を集めて遠くへと消えていった。
餓鬼達はオレンジの塊に戻り、そのまま溶けていった。夕陽が山を照らすようにオレンジに染めた。
山の住人達は何も言わずに武器を捨て、それぞれの住処へと戻っていった。
全ての悪は消えた。
ズィーベンと白馬は全てが見える巨大な岩に登り、来る日も来る日も二人離れずに、この山の平和を見つめた。再び悪が現れないように二人は剣となり、この岩から見下ろして行こうと誓ったのである。
終
ズィーベンとカリヴァー 門前払 勝無 @kaburemono
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