第4話

「あれ、凛君だよね。話は弘から聞いているよ。助手希望なんだろう? とりあえず面接でもしようか、さあ上がって。」

「ちょっと舞姫さん。別に面接なんて入りませんよ。俺がもう既に確認済みです」

確認?面接の代わりになるようなことは言われた覚えはないけど、。

「弘のことは信用してるけどこれは私たちのこれからに関わることだから、悪いけど席を外してもらえる?」

なんかした雰囲気になってきたな

「でも」

金田が言うと橘さんがそれに被せていった

「弘、わかって」

少しの沈黙

「・・・はい。でも、余計なことだけは、」

渋々といった感じで言った。なぜだか苦しそうな顔をしているような気がする

「わかってるよ。そこのところも一応ちゃんと考えてる。馬鹿ではないつもりだけど、それじゃあ凛君行こうか。リラックスしていいからね」

「え、はい」

あのギスギスした雰囲気に緊張していた僕にはリラックスなんてできるわけがないけど。でもそんなことよりもさっき金田が言っていた”余計なこと“という一言、あの場の雰囲気と金田の表情からして冗談には聞こえなかったのだけど、どういう意味だったんだろうか。


アパートの一室に入ってしばらく、見た目のいいソファに橘さんと対面で座っていた。

「さて、それじゃあ面接をはじめようか」

そういえば金田との話では...

「あの、今更で申し訳ないんですけど、まだここで働こうとは考えてなくて、その。とりあえず見学だけのつもりだったんですけど」

「あれ、そうなんだ。だったら明日、面接の代わりに実際に働いてみて適正があるかどうかを見極めようか。適正があるようだったらこちらからも是非誘わせてもらうつもり。正式にやるかやらないかはその時の凛君に決めてもらうというのはどうかな」

「いきなり働くんですか?」

それは心配だ。僕は全くアルバイトや地域ボランティアにも参加しないような経験の浅い人だし、人付合いだって苦手だ

「そんな心配そうな顔しないでよ。働くといっても手伝いくらいだし、凛君と一緒に行く私やほかのメンバーの手伝いさえしてもらえればいいからさ。それにそんなに難しい依頼じゃないから」

「金田、あの弘君は来ますか?」

やはり顔見知りがいた方がすこしは安心して行くことができるだろう。

「いや、弘は行かないよ。だって行ったら君の仕事の手伝いをしそうだし。そもそも明日は忙しいだろうからね」

少し心配だけど。これだけ言ってくれてるんだ。頑張ってみようかな

「じゃあやってみます。」

「ふふ、そうこなくっちゃそれじゃあ明日、朝8時くらいにここに来てね。明日来るメンバーは明日紹介するから。」

「わかりました。」


緊張する反面、楽しみな気持ちもある。あしたが待ち遠しくて、だけど少し怖くてこんなことは初めてで少し戸惑いもあるかもしれない。だけど何故だか、明日僕の人生が変わるような気がする。いや、すでに変わり始めていたのかもしれない。


学校で金田弘と会ったときには。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ボクの想い出 藤之海 @hujinoumi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る