第74回Twitter300字SS「道/路」

草群 鶏

一路

「灰二さんまじかっこいいす」

「ははは、褒めても何も出ねえぞ」

「めっちゃ強えし頭切れるし、今じゃ親父ボスの右腕だし」

「欲しいものがあったからな」

 認められたくば力をつけろと親父は言い、俺はばか正直に食いついた。駆け上がった最短距離、汚れ仕事でもなんでもやった。後悔がないと言えば嘘になる。

 若かったのだ。それでも。

「おまけにかわいい奥さんまでもらって」

「まあな」

 恋をした。相手は親父の一人娘だった。それが俺の人生を決めてしまった。手に入れたかったのは君の隣、親父の右腕なんてやつはオマケだ。

「無駄口叩いてるヒマあったら帰るぞ」

「えっ、待ってくださいよ」

 今も昔も変わらない。俺の道は、いつも君へと続いている。

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第74回Twitter300字SS「道/路」 草群 鶏 @emily0420

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