SSSランク魔獣区域からの生存者

つん

第1話逃げる私、助けるのは王子さまではなくおっさんだった

「きゃーーーーーーーー」





私は全力で走っている





後ろから狼の小型魔獣の群れが追いかけて来るからだ






ギルドで簡単な仕事だからと受付のお姉さんに言われて、下調べもなく受けてしまったのがそもそもの間違い







森に薬に使うための薬草をとりに来たらまさかこんなやつらがこの辺に群れでいるなんて






こいつらは群れでの猟が得意でBランクの魔獣だったはず




Dランクの魔獣区域になんでいるのかはわからない





けど、そんなことは、もはやどうでもいい






逃げなければ死ぬ






こんなところで死ぬわけにはいかない







私には夢があるのだから






風になれ私!!!






もはや私の美しいお顔は必死な顔と風圧でひどいかおになってる






鼻水とよだれ垂れてるし、、、








「じんでだまるがーーーー!!!」






いきる決意を固め、普段は美しい顔(笑)を笑わしい顔に変え、、、







え、ちょ、ま、(笑)だれ?笑わしい顔って誰が、、、








「あのー、大丈夫っすか?」













声をした方を見ると、30位のおっさんが私の横を並走していた






冒険者だろうか、なんであっても助けて欲しい、私は必死に助けを求める






「だず、だずごは、たずげばぐばざぃ」







走りながら必死に話そうとする私







「だず?だずごは?あー、あい、どんと、いんぐりっしゅ」








この世界英語ねーから、、、世界観1話にして崩すなボケが











ついに限界が来て転んでしまう






それにあわせておっさんも止まると、その回りを魔獣達が囲み、唸りながらじりじり近づいてくる







腰につけたダガーをぬき、抵抗するために構える






私のランクはCランク





私よりランクが高いとはいえ、やつらの強さは群れでの強さ






一匹一匹はそんなに強くないはず









こんなところで








ぐーーーー








死ぬわけ





ぐーーーー






にはいかな








ぐーーーー







「おいーーー!」









となりにいるおっさんがずっと腹をならしていた








「ねー、空気読んでよ、このシリアスを感じて!!!」









「すみません、腹が減っちゃって、飯にしてもいいですか?」






「こんなところでなに考えてんのよ!このままじゃあなたも死ぬのよ!!」





涙目になりながら叫ぶ私に、ついに魔獣が牙をむき、襲いかかる









やってやる、






やってやる、、、








私はお父さんに会うまで死なない!!!








覚悟を決めたそのとき、眼前まで近づいていた魔獣が吹き飛ぶ







「死にませんよ」






何をしたか見えなかったが、手をパンパンと埃を落とすように叩いている







魔獣の群れは狙いをおっさんに絞り、数匹が口から魔弾をうち、残りが襲いかかる







魔弾を軽くハエを払うようにいなし、






襲いかかる魔獣を殴り付け、一撃で仕留める








それを見た魔獣の生き残りたちは慌てた様子で撤退していった







おっさんは仕留めた何匹かの魔獣を集め、なぜかそこで焚き火の準備を初めている






さっきまでの命の危機がこんな形で、あっさり終わりをつげた私はまだ理解できず。たちすくす、、、








「あのー、大丈夫ですか?」








はっと気付き、軽く返事を返す





「大丈夫よ」




「ほんとに?」









「あ、当たり前でしょ、私だって冒険者なんだから、一人でも楽勝だったわよ!!!」







冒険者には、いろんなやつがいる、あまり、弱味を見せるのは得策ではないと思い私は強がる







「いや、そうではなく、、、」








「鼻水とよだれが、合体して体液合体でろーんになってます」






少しにやにやしながらおっさんが告げた









顔を真っ赤にし、渡士は腰のポーチからハンカチを取り出し、黙って顔をふく






「ケツが茶色いけど、もしかして、もら」





「漏らしてない!!!転んだときに土がついただけ!!!もうほんとやめて!!!セクハラでうったえるわよ!!!」







セクハラという発言に顔をしょんぼりさせ、すみませんでしたと、深々と頭を下げたおっさん







「もういいわよ、私は北大陸の北の町からきたユア、よろしくね」






「ああ、どうもごていねいに、キタキタユアさんですね」







こいつ、、、





「俺はドゥーズです、俺は北大陸の南村で住んでたんですが、デカイ怪鳥に捕まりましてね、そのまま北の最果てにつれられ、村に帰るとこなんです」










その言葉を聞いて、私は驚き、声をあげ聞き返す








「北の最果て?それって世界に五つあるうちのSSSランクの超危険魔獣区域じゃない、嘘つかないで!」




「嘘じゃないですよ、かくかくじかじかで色々あって命からがら逃げてきたんです」








いや、かくかくじかじかわかんねぇから







詳しく問い詰めると、





怪鳥に捕まり







どこかにおとされ





なんかキラキラした泉に落ちたらなんか強くなって






魔物を狩って食べ繋ぎながらここまでたどり着いたらしい








はー、と現実なのかわからずため息をつく私、






さっきの魔獣を焼いてもりもり食べ出しているこのおっさんが嘘をついている様子はない





「ねー、最果てからきたんでしょ?」








「はい」







おっさんは私の前にも焼いた魔獣をおく







それをありがたくつまみながら、少し期待して聞く






「どこかで私のお父さん、ガイアっていう人に会わなかった?冒険者をしてるんだけど、、、」







「会いましたよ、最果てでなんとか生きてる俺に一方的に話しかけ、助けて欲しい、町につれていって欲しいと頼む私をほったらかしてどこかに行ってしまいました」






あのくそ親父、、、






けど、見つけた。







唯一のてががり、







私は、お母さんが数年前に死んで、祖父と祖母の家で暮らしてる







ふと思ったんだ






お父さんに会いたい







お母さんが死んだことも伝えて








一緒に墓参りにいきたい










自由気ままな人で、お母さんが死んだときは恨んだこともあった






けど、お母さんが最後まで愛した人だから







たった一人のお父さんだから


















「改めて自己紹介するわ、私はCランクの冒険者、ユア、そのガイアって人の娘でその人を探してるの」







「俺はドゥーズ、なんでか北の最果てにつれられ、命からがら自分の村に戻ろうとしてます」








「ドゥーズ、私と一緒にお父さんをさがしてくれない?」








「ああ、嫌です」








こうして私とおっさんの物語は始まった







ん?







断られたら始まってなくね?





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SSSランク魔獣区域からの生存者 つん @tunkoromi-kuru

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