第5話 波乱の予感
不良くん(仮)は鋭い目つきで僕を睨んだ。僕は、その視線に臆しながらも、懸命に会話を続けようと試みた。
「あ、あの、さっきまでここにいた人って、どこに、行ったかわかりますか?」
「んなもんオレが知るかよ。喋りかけんじゃねぇぞ陰キャが」
終わった。僕と彼との間には友情が全く芽生えないことだけは、今のやり取りだけで充分にわかった。そんでもって、すっごく怖くて、僕とのやり取りを見てた人はそそくさと離れていった。
(た、助けて、花邑くん...!)
あの優しすぎる花邑くんに、藁にもすがる思いで助けを叫んだ。心のなかで叫んだから、さすがに来てくれないか。
「大丈夫、深雪君?」
ふと、頭上から聞き覚えのある声がかかった。見上げると、後光のさす花邑くんの顔が、優しげな微笑みをたたえ僕を見つめていた。
やっぱり神様だよ、花邑くんは。
今度は声に出さないように、口を固く閉じて、心のなかで呟く。それを見た花邑くんは、僕が恐怖で固まってると受け取ったのか、隣に座る不良くんを叱責した。
「羽賀沖、弱い者いじめはするなって何年言い続けたらわかるんだ」
「いじめてねぇよ。そいつが勝手にビビってただけだ」
「は・が・お・き?」
「わ、悪かったよ。別にいじめたくてやってたんじゃねぇのはホントだからな」
羽賀沖くんと花邑くんは面識があるようで、僕を置いて2人の世界に入ってしまった。それをじゃっかん羨ましげに眺める僕。なんかやな立場だな。
しばらく2人のやり取りを見ててわかった。羽賀沖くんは花邑くんに勝てない。どうやら花邑くんは羽賀沖くんより上のカーストみたい。
「ほら、俺にばっか言い訳をするんじゃなくて深雪君に謝る」
「いや、だからオレは...!」
「はぁ。俺言ったよね、ハネがそんな格好になるときにさ」
「それは...そうだけど...」
2人には [あの日の約束] があるみたい...?なんだろ、すごく気になる。どっちが先にあの子をお嫁さんに、とかやってんのかな。
などと、僕が不躾な妄想をしてると、羽賀沖くんがこっちを向いていた。視線は床に落とし、肩を震わせていた。
「わ、、、悪かっ、、、、、、、た。.........................ゴメン」
不詳不詳といったふうに、つっかえながらも謝ってくれた。
「いいい、いや、僕の方こそ、勝手な偏見だけで君を悪人だと思ってごめん。僕は霜月深雪、君の名前は?」
「オレは羽賀沖静矢。特別にハネって呼ばせてやる。ハナ以外で呼んでいいのは、お前だけだから、誇ってもいいぞ...痛っ」
「こら、上からものを言わない」
ハネくんは言葉に詰まってる。
面白い人だな、ハネくん。一時は学校生活終わったと思ったけど、案外楽しくなりそうだな。
そんなことを考えてたら、花邑くんから逃げてきたハネくんが僕に耳打ちしてきた。
「ハナはオレのもんだ、ぜってぇに渡さねぇから」
ッ!?な、なんで今宣戦布告されたの??
ま、まさか、ねぇ...。ははは、乾いた笑い声しかでないよ。
少し距離をとって、今度は堂々と言い放った。
「ハナに気に入られてるからって、調子にのんじゃねぇぞ。これからヨロシク」
..................本当に楽しくなりそう(泣)
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僕は普通の恋がしたい! 絢爛豪華な道化師 @atmick_samurai
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