結末が楽しみ

復讐と執念の塊だと自覚ある主人公。
そして憎い仇とはいえ、関わることによって無感情で切り捨てることができなくなった魔族としての『仲間』たち。
前世のため、『人族』として魂を燃やす主人公に言いたい。
今世も紛れもないあなたの『生』なのであると。
前世があるからこそ存在しえたとはいえ、決して前世の付属品ではないはずだと。

愚直に復讐心と人類への愛を持ち続ける主人公だ。その分情も大きく、深いだろう。
果たして、彼は過去のために今愛する人をどこまで犠牲にできるのだろう。
その犠牲には人族だけではない、魔族だって含まれると思う。
今のまま進めば、いずれその手にかける者の中には、『母』がいる。

禁忌を犯し続ける主人公のハッピーエンドを単純に願うことはできない。
魔族側には滅ぼされるだけの理由と業はある。
だが、主人公が願う人類の平和が、敵対種族に全く当てはまらない(対象とはなれない、あるいは相応しくないなんて)ことはないはず。

志を曲げろとは言わない。だけど、願わくば復讐だけでは終わらないでほしい。
生きて、足掻いて、後悔し、苦しんだ結果、抱え続けた慈しみを、前世にだけ向けないでほしい。
魔王子としての生を復讐で終わらないでほしい。

これは作者様への指示などの意図はなく、主人公を見守る一読者の祈り、のようなものです。
レビューではないような気がしますが、物語を読み進むにつれてもはやどこにコメントすれば良いか分からず、レビューとして残しました。

魔王を殺し、魔族の国を壊した後、主人公はどうするのか。
あるいは魔王国滅亡を成す前に別の答えを見つけるのか。

主人公が歩む第二の生を読者視点で辿りつつ、今から結末が待ち遠しく思います。