第8話 お花見

私たちは、時間通りに下に降り外に向かった。


「おーーーい」

凄い大きな声で叫んでる人がいる

私は、ぎゅっと目を細め叫んでいる人を見た


「え!部長?」

私は、部長の所まで小走りをした。


「部長!」

「何してるんですか!?」


「えっとー、花見を皆でしようと思って」

「ほら、いつもこの時期になると当たり前に咲いている桜」

「最初は綺麗だなって思うけどいつしか日々に追われる社会人」

「見ている様で感じてないんじゃないかな?」

「今、この瞬間を幸せだと感じれる人じゃないと、人を楽しませる事なんか出来ないと俺は思うんだよ」

「桜はさ、散っている様に見えて実は来年、また、楽しんでもらえる様に頑張るんだ、凄くない?」


凄い適当な人だ、非現実的な人としか見れなかった。

私たちは、寝る時間も削りながら仕事をしている

桜を楽しむ時間があるなら家でゆっくりしたいし友達と会いたい


「佐々木さん?」

「何をそんなにボーってしてるのかな?」


「あ!桜が綺麗だなって」


「そうでしょ!綺麗だよね」

「そして頑張ってる!」

「佐々木さんも、勿論、みんなも」

「家でゆっくりしたいとか、思ってるかもしれない」

え!知らないうちに声が出てたの?

「それでも良い、桜を見て皆と同じ景色を見る」

「それが、今、一番大事なんだ」

「パワハラって言われるかもしれないが」

「これは、上司命令だよ」


「おーーーい」

「おーーーーい」

部長が皆を急かしている

何を喋るでもなく大人が揃って桜をみている


夕方になるとまだ寒い


「さて!これから飲み会です!」

「残念ですが、一次会は強制でお願いします!」

「それと、パワハラって言わないでね」


キラーワードかよって思ったが

いがいと、皆が笑っている


良い上司なのか未だ分からないけど

私は、いま何だか心が晴れている

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携帯小説 来未 希(くるみ のぞみ) @mikeneko2989

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