たった1500文字足らずの言葉のはずなのに、読者は遥か遠い異世界に連れ去られてしまう。 的確な二人称の描写、選ばれた単語の緻密さ、紡ぎ出された世界の奥深さ、散文詩のような文章の流れ……。 読み返す度に、想像を刺激され、語り出したくなる強い魅力を持った作品である。
タイトルに惹かれて飛び込んだ先の世界は、二人称で語られるどことなくエキゾチックな旅の話。リズミカルな文脈、書き手の想像力が水脈の如く溢れる世界観。短い作品ですが、これぞ言霊を追う醍醐味、これぞ読書の楽しみといった愉悦を味わえます。