タイトルは本文よりの抜粋です。そして、それは作者から読者であるあなたへの心からのメッセージでもあります。
カクヨムには自分の人生を赤裸々に繙くことで、ひとつの作品を創りあげている人たちがいます。ますもりおさんもその一人です。
フィクションにはないリアルの力を前に、私はひたすら受け止めるしかありません。主人公である彼が懸命に、その時の力を精いっぱい振り絞って辿ってきた道を私も辿り、どこへ行き着くのか見届けるしかないのです。けれどそうすることで、最後に自分自身の来た道を振り返り、これまでのこと、これからのことを深く考えるチャンスをもらいました。
一話ごとに冒頭で、作者さんからのメッセージが語られるのがいい。まず彼の言葉ですっとお話のなかに誘われ、読み終わってからその話のタイトルにかえって、もう一度目を通してみるといい。あなたの瞳にも空が、波が、涙が、虹が……幾つもの光景が映り、広がっていくでしょうか。
まずはこのノンフィクション作品を掲載した、ますもりおさんの勇気に敬意を表します。
言葉にするのをためらってしまうような壮絶な人生。悪いことに手を染めてしまった作者の、道のり途中のエッセイです。
内容的には重いのですが、語り口があっさりとしているので、読んでいてつらい気持ちにはならないと思います。
父親から虐待されても母親はかばってくれない。愛する人と幸せを手にする手前で、悪魔の囁きに落ちてしまう。一生懸命に働いても、足を引っ張られたり、犯罪行為によって幸せを逃してしまう。病気に蝕まれ、以前の生活を送れない。
文中で医者が「あなたは破滅型だ」と言っていましたが、幸せを妨害するのは他人、そして自分の内からも来るのだと感じました。けれど裏を返せば、幸せに導くのも自分であり、他人の優しさや思いやりなのでしょう。
この先のますもりおさんの人生が、穏やかさに満ちたものであることを願わずにはいられません。体を労りながら、執筆活動を続けていって欲しいと思います。