後編

 ロネは屋敷から誰もいなくなったのを確認し、ルオーの席であった、零番席に座る。ルルゥがどこからか飛んできて、ロネの右肩に乗る。


「お疲れ様、ルルゥ。先に帰ってていいよ」


 パチッと指を鳴らすとルルゥは消えた。


 それと同時に扉がバキッといい、三人ほどの男が屋敷に入ってきた。


「…ここが大魔術師ルオーの屋敷! 見た目とは裏腹に豪華な室内だなぁ」

「な、なぁ、見てみろよ! この床とか壁とか大理石だぜ! テーブルなんか、水晶だ! 」

「これは大儲け出来そうだ! 金目のもん、全部盗ってこうぜ! 」


 男どもはここを見つけられたことに心酔して、ロネの存在に一つも気づいてないようだった。


「盗られちゃ困るんですよねぇ」


 鈴を転がすような声が響く。ロネは椅子から立ち上がり、男どもは振り向く。


「誰だお前! 」


 と叫ぶ。


「私は、うーん、名も無き魔術師、ですかね」


 にこっとするロネ。


「魔術師? こんなところに、か? もしかして同業者か? なら、山分けしようぜ! 」


 変な勘違いするんじゃねぇよ。馬鹿だなぁ。


「自惚れも大概にしてください。私はロネ。この屋敷を守る者です」

「は? 屋敷を守るのはルオーの十二人の弟子だろ? 弟子の中にロネ、なんて名前はない。お前は同業者だろ! 」


 まだわかんねぇのかよ。反抗的な方が美味しいかなぁ…♡

 あほらしいと思いつつも欲望が勝る。


「じゃあ、十三番目の弟子っていったらどうです? 」

「十三番目……? 」


 男どもは動きを止め、急にバタバタと倒れ始めた。まるで人形のように。最後の一人になった、男はナイフを持ち


「ふ、二人に、なにをした……!! 」


 男の手はガタガタを震え、目の焦点も定まっていない。余程の恐怖なんだろうな……。

 たまらない……♡

 素敵だ、とっても。


「だぁかぁらぁ、ルオー様の十三番目の弟子だぁっていってるでしょお? 」


 男は言葉を聞くなり、白目を向いて気絶した。


「あちゃ、はやいよ。……でもまぁいっか。いい心を手に入れたから。どうやって遊んでやろうかなぁ…♡」


 倒れた男どもの心を手に入れ満悦のロネの顔は、満面の笑みを浮かべていた。

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