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四羽は縁起が悪いから私は消えるわ、立つ鳥跡を濁さずってね(卵糖パンを弄んだ小説を書いたあなたはきっと公開する)
「シュガーアヴェニュー」の帰り道、煮菜子は何者かに追われていた。
鬼教官・糖間が煮菜子に足りないとばかにした三つの試練を手に入れた今、「バレエ教室兼キッチンスタジオ・
今度の秋の舞台『黒糖の湖』の主役は彼女が抜擢されるはずだ。なのに、なぜ背中の悪魔はじゃま立てするのだろう。
最後の最後になって、作者からのミスリードが否応なく読者に襲いかかる。
https://kakuyomu.jp/works/1681644444444444444444…………
https://kakuyomu.jp/works/16816999999999999…………
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「なに考えてるの? 作者は! 通報されたいわけ?」煮菜子はURLに触れないよう必死でかいくぐり、逃げ回る。
通報されたくない。だからこそ、点々でごまかしている。そしてまた、これではURLの機能を発揮しないだろうと踏んでいたのにプレビューを表示させてみたら水色に変化していたことに驚きを隠せない作者。どうか誤ってクリックはしないでください。ページはありません(見つかりません)。「以下の可能性も考えられます ∨」の全可能性は考えられません。
読者の怒りが煮菜子を直撃する。結局のところ、いつもひどい目に遭うのは物語の登場人物たちであった。作者が異世界や伊勢になんの前触れもなく飛ばされることは滅多になく、時に主人公をいたぶりながら、のんきにストレス社会と戦うチョコを食べたりオーガニックコーヒーさえ飲んでいるのだ!
「『黒糖の湖』の主役は私のもの! 世界新人お菓子職人選手権大会も、私の卵糖パンが優勝をかっさらうの。お願い、じゃましないで!」
煮菜子の唇の脇を涙が通り抜ける。
映画『ブラック・スワン』を家族で観て気まずい思いをしたというその視聴者のリビングの空気にももちろん同情する。作者は一人で観たので問題は起こらなかった。観る前に内容確認を怠ってはいけない。しかし、それにも増して、煮菜子の方に作者は同情するだろう。
これは救いの手であろうか。突然辺りに霧が立ち込め、煮菜子の眼前に姿見が出現した。観音開きの扉がついていて、開けて中を覗き込むと、背中に黒い翼を生やした美しい女性ダンサーが映っていた。
「半分は私みたい……」煮菜子は見つめて陶酔をこぼす。「人が『遠い日に帰る』、と表現するようなアルカディアかしら。もし彼女が私として存在できない理由にその半分があるというなら、私だったら、それを与えてやれる気がする」
全身に恐怖を運ぶ
右の扉の裏に張り巡らされている鏡に左の扉の鏡像が映り込み、いつかテーブルに並べた黒い卵糖パンが
煮菜子はとうに知っていたのだろうか。実はそれらは食べ物ではないのだと。
人が自分を偽って、人前で幸福である演技をしたり、自分自身に不幸であると言い聞かせるような夢の世界は、口に入れずに胸で直接呑み込むものだから、永久運動で誤作動を起こし続ける幻影であり、無味で空っぽであるということを暴かれずに済むという知恵の姿をした食べ物──あなたの関心を繋ぎ止めるための物語である。気を許してもらうことだけが彼らの悦びであり、目的……。
食べられさえしなければ決して死ぬことはないと知っている黒い妖精が、鏡の中で今もなにかつぶやいている。
ポルトガルから船に乗ってやってきたの。遠い未来まで、ずうっと一緒だよ。黒いカステラは私たちにそう
黒いカステラ(裏アトリエセレクション) 崇期 @suuki-shu
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