付録






・エーゲ


本名:化野あだしの 盈月えいげつ

生年月日:二〇〇〇年/幻世三年 七月九日

身長:一七九センチ

家族構成:姉(既婚)、両親は数年前に八種雷神の祟りで死別

職業:大学二回生。怪奇学部心霊科。専攻は主に霊障、及び呪詛返し


 季節問わず薄手のコートを着込み、その内側には護符や破魔の針が仕込まれた用意周到な男。黒髪に濃い灰色の瞳を持つ耽美な容貌の持ち主だが、纏う雰囲気や言動に威圧的な面があり、基本的に第一印象は悪い。大抵のことは人並み以上にこなす要領の良さと、努力を惜しまない気質を兼ね備えたギフテッド。ヒナ曰く「何にでもなれるし、何処にでも行ける人」。


 ヒナに対する感情は妹を見るそれに近く、異性としての意識は薄い。好みのタイプは容姿で言えば文車妖妃だが、曲がりなりにも化生であるため粉をかける心積もりは皆無。尚、執拗なアプローチを仕掛けてくる妖狐に辟易こそしているけれど、別に彼女を嫌っているわけでもない。


 基本的にはさっぱりした気質。しかし、何かと不運が重なる度に神仏を呪う逆恨みな一面も。また、その所為で神頼みの類がうまく運んだためしが無く、益々以て神や仏に恨み節を飛ばすという悪循環状態。


 月齢に応じて験力が上下する特異体質。ピークである満月の際には、本職の祓い屋や陰陽師にも匹敵する力を行使することができる。重ねて影喰魚を殺して以来、験力の基礎値が更に上昇中。


 人間よりも女怪にモテる。






・ヒナ


本名:恋ヶ窪こいがくぼ 雛芥子ひなげし

生年月日:二〇〇二年/幻世五年 一月二三日

身長:一六八センチ

家族構成:両親、祖母、弟、妹 ただし弟妹に至っては存在すら覚えてない

職業:通信制大学一回生。芸術科。実は凄まじく絵が上手い


 常に黒一色の装いで統一し、癖毛の白髪を緩く三つ編みに纏めた、魔を寄せる金色の瞳が特徴的な白皙の美女。外見こそ物静かな才媛を思わせるが、実際は天真爛漫かつマイペース。その身を蝕む呪いの影響を差し引いても頭の出来が良いとは言えず、頻繁にトラブルを招いてはエーゲに泣き付いている。尚、そうした行為の裏には「私は貴方が居ないと生きて行けない」という脅迫めいた主張が篭められている……のかも知れない。


 実家は地元の名士で結構な地主。色々な意味でまともに働くことなどできない彼女の生活費は、全て両親からの仕送りで賄われている。月々の送金額は新卒社会人の月収より多いくらいで、基本的に金に困ったことはない。


 家族の間では、既に半ば盈月と結婚したものとして扱われている。


 守護霊が週一で変わる。






・四尾の妖狐


本名:ほたる

生年月日:江戸時代後期

身長:変動可

家族構成:母(九尾)、姉(七尾)、妹(二尾)


 見る度に柄と色の変わる着物に身を包んだ妖狐。人に近いシルエットを持つが、本来の姿は虎よりも大きな白狐。狐の美醜感覚に照らし合わせるとまさに絶世の美女であり、絶えず求婚者が押し寄せるほどだが、当人の眼鏡に適う相手は長らく現れず、袖にする日々を送っていた。その反動か、真意を掴ませない飄々とした態度とは裏腹、エーゲに対しては自分でも驚くほどベタ惚れ。


 妖狐に於いては最も身分が高い一族の主流を汲む血筋の娘。ただし当の彼女はあまり身分どうこうといった話に拘りを持っておらず、寧ろ身軽であることを好む。とは言え妖狐らしく狡猾ゆえ、都合のいい時には地位を存分に利用する強かさも併せ持つ。


 実は五尾になりかけていて、腰の付け根に小さな尻尾が生え始めている。






・文車妖妃


本名:あやね

生年月日:幕末期

身長:一七三センチ

職業:古本屋


 全身に巻子本を巻き付けて衣服の体裁を繕った黒髪の女性……の姿を持つ九十九神。女の思慕を核とした化生であるにも拘らず男慣れしておらず、異性と顔を合わせただけでまともに喋れなくなる恥ずかしがり屋。本に触れただけでその内容を知ることが出来るため、生きた歳月も合わさって相当に博識。日記をつけるのが日課であり、もし読まれたら恐らく死ぬ。


 鳥山石燕が遭遇した文車妖妃とは別個体。同種の中では最も若い、謂わば末っ子。


 手紙の化生だけあって語学が堪能。およそ三十ヶ国語を操るマルチリンガル。





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夜歩奇 〜よあるき〜 竜胆マサタカ @masataka1201

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