苦難に折れても輝く、一輪の花

黄色で溢れた幸せの国。人間関係の苦しみや悩みを抱くことのない、理想郷が描かれています。この世とは思えない光景に憧れを覚えますが、不気味な印象も持ってしまいます。

名前を持たない「私」と、政府の仕事で出会った青年。二人の会話からも、幸福の基準とは何か考えさせられました。難しいテーマに臆することなく、たくさんの方に読んでほしいSFです。

特筆すべき点は、KAC参加作品として書かれているところ。4000字以内の規定を守りつつ、黄色い国の世界観を書き切っているのです。奥行きのある物語に、書き手としても感動しました。