第4話彼

俺は気づいた。この世界の真理に。それは俺が幼子の時からずっと考えていたが、今しがたまで答えを出すことができなかった問題に強く関係している。


結論を言えば、この世界は初めからない。ただの夢物語に過ぎないという事。大体の人は、は?ってなるだろう。そうなって当然だ。俺が天才だからたどり着いた答え。導き出せた真理である。俺の16年と10ヶ月。幼少期を除けばもう2,3年分は減るが、それだけ長い時間を費やしてきた。そして結果がこれ。心の底から笑えてくる。

小学生の時、ひどく自分の存在意義について考えた時期があった。その時は未来の自分へその答えを託した。


何が言いたいのか分かってない人が多いだろう。わかりやすく言えば、そもそも今あるこの世界の全ての生き物は操り人形のようなもの出会って、人間で言えば自我があるように見えるが、全て「ある人」が作った感情に過ぎない。

人間に感情を与えた。そしてそれ以外の生き物の殆どが自らの3欲に従って生きている。感情がないというわけではないが、人間よりはるかに劣っているだろう。何故人間程の知性を持った生き物がほかにいないのか。絶滅したから。それで済ませようと思えば済ませれるだろう。実際人間も数え切れないほど進化して、色々な種類の人間(亜種)が絶滅していった。その過程で優れたものを持っている者だけが生き残ってきた。しかし、何故人間しかこれほど高い知性を持った生物が生まれていないのか。それの解決にはならない。

俺の結論はこうだ。「ある人」が地球を作り、ある1つの種類の生き物に高い知性を与えた。そして「ある人」は観察を始めた。俺ら人類がこの世界で頂点に立ったとき、他の生き物をどう支配するかを。

今の俺たちの考えは全て「ある人」の娯楽のために生まれた。そして俺はあの人と近い思考を持っている。おそらく今まで生まれてきた人の感情の中で誰よりも。だからこそ分かったことがある。

『この世界は偽物だ。』

細かく話すととても長くなるので割愛するが、「ある人」の手が掛かっていない、自然にできた世界があるはず。

そしてそこに行くための条件は、「ある人」の思い通りに行動しないこと。「ある人」に一泡吹かせることが第一条件だ。

だから俺は死んだ。ゆっくりと自分の四肢を自分自身で断ちながら。



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偽りの世界 SS @hato37

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