高校生たちが紡ぐ、ほろ苦くて初々しい、恋と友情の青春ドラマ

綾瀬大雅、成海妃色、麻生孝也……三人の高校生男女が紡ぐ、ほろ苦くて初々しい、恋と友情の青春ドラマです!

まず最初は、ヒーローショーでアルバイトをする大雅くんと、ヒーローファンの成海さんという関係性を中心に物語が進んでいきます。
ヒーローのMASKを被っているので自分の正体は明かせないけれど、そんな自分の演じるヒーローに熱い視線を送ってくれる成海さんへの思いが、大雅くん視点で描かれます。

さらにその続きは、ヒーローであるプリンスレンジャーへの憧れと、クラスメイトである大雅への思いの間で揺れ動くホワホワとした乙女心が、ほんわかヒロインの成海さん視点で綴られます。

ここまでで、大雅くんと成海さんのジレジレな恋愛ドラマにどっぷりと浸りかけますが、この物語の本番は三章目の麻生視点から。

大雅くんの親友であり、さらに成海さんに思いを寄せる麻生くん。
思春期の男の子特有の勘違いや思い込み、暴走と妄想を繰り返し、親友である大雅との関係性と成海さんに対する思いを天秤にかける麻生くん。
苦悶し、葛藤し、妄想する彼の心情が、これでもかというくらい深く深く抉られていきます。

パッと見は、高校生の淡い学園ラブストーリーのように見えますが、読み進めていくうちに、これは三者三様の仮面を被った高校生達の成長物語であることが分かってきます。

もちろんメインの三人以外にも、個性豊かなクラスメイトたちが、時には重要な役割を果たしつつドラマに彩りを沿えてゆきます。

そして、感受性豊かな高校生達の青春ストーリーを臨場感タップリに読み手に伝えているのが、作者様の感性豊かな心情描写です。
「あ~、わかるわかる!」と共感できる場面は、枚挙に暇がないくらい登場します。
適材適所で登場人物達の心情を映し出す豊富な暗喩に「こんなピッタリな表現があったのか!」と感心させられることもしばしば。

喜んだり、不安になったり、飛び上がるほど歓喜したと思えば、自己嫌悪に陥るくらい絶望したり……そんな、浮き沈みの激しい麻生くんの姿を、微笑ましさと同時に、身につまされるような思いで読み進めさせていただきました。

最後に麻生くんが下す決断とは?
成長した麻生くんの姿は、是非ご自身の目で確かめてみて下さい☆

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