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目次
飛行計画
地面の上の恋人たちは
遊び半分嘘だらけ
僕の希（のぞみ）は壊（こわ）されて
地平線の真上あたりに
上昇気流（じょうしょうきりゅう）をまきおこす
故障瓶（こしょうびん）を誰かが振って
小さなシンバルひとつづつ
そこらここらで聞こえ出し
路の木目（きめ）もすっかりと
粗（あら）く変わったある季節
僕は納屋（なや）にもぐりこみ
塵（ちり）と埃（ほこり）を払いのけ
古い古い飛行機を
やっとの思いで押し出した
破れキャンバス張り直し錆（さび）つきエンジン注油（ちゅうゆ）して
アルミニウムのプロペラを括（くく）りつけたらできあがり
僕のむかしの友達は
けっこうイカした複葉機（ふくようき）
焼玉機関（やきだまきかん）あたためて
エンジンスタート、スタンバイ
操縦席にとびのれば
まってましたと動き出す
あっちこっちと頼りなく
調子を出すのに一苦労
飛行場のはしっこで
やっとこすっとこテイクオフ
湿った地面を離れたら
左旋回急上昇（ひだりせんかいきゅうじょうしょう）
僕の素敵な飛行機は
一目散（いちもくさん）にかけあがる
虹のリングをくぐりぬけ
灰色（グレー）の街よさようなら
飛んでいこう
空が沈む前に
雲を蹴散（けち）らして
空の遥かな内側の
地球の見えるところまで
霞（かすみ）の流れに加速され
空から
空へ
右にグリーン
左にブルー
光の屑（くず）をかき分けて
プルンプルンと散らかしながら
もうあの街は
もうあの人は
もう灰色の雲は
尾翼（びよく）のずっとうしろ
僕らの下に
地球がまわる
かなしみの
藍（あい）に染まった
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