ふゆやき
シュークリームが食べたいのに
シュークリームは無かった
少なくとも僕の近くには
無かった
シュークリームがないのなら
ありあわせのお
仕様がないでしょう
それでもシュークリームが食べたけりゃ
シュークリームのようなふゆやきを焼くのです
もし間違って
あなた団子っ
むねやけになりますよ
どこをさがしても
シュークリームはなかったので
ぼくはその
ふゆやきを焼いて食べることにした
ふゆやきとは
それともひらがなで書いた
あいすくりーむのようなものなのか
はたまた、単なる
べらぼうめ
これがふゆやきであるはざぁねえさ
ふゆやきゃこんなに熱かねえ
こりゃおめえ、夕焼けってもんよ
純粋な意識の問題よ現象よ
いまあじゅよ
べらぼうめ
ちゃんと
頭の
古い本屋の並びがあった
知らないの?
常識じゃん
どこの大学でているの?
ああ、三流ね
えっ、ふゆやきって結局何だって?
たぶん、赤レンガの内側の
池の氷を割らないと見えないものよ
赤レンガを捜すと
女のかたちに出会った
いわば一つの愛のかたちね
そんな空虚そのものをさがすより
もっと実質的なかたち
つまり
恋をしてみない?
シュークリームが食べたいって?
オネンネねえ
食欲もさることながら
やはり若さもあることなので
早々と用をすませ
再び
背の高いオフィスビルに引っぱり込まれた
君、分野が違うよ
我々の世界では
やはり真理が絶対なのだ
そしてまた真理と相対的に存在し
シュークリームのようなふゆやきをさがすなどということは
やがて懐疑論に陥るのだから
そんなことより手っ取り早くシュークリームを食べたほうが
有意義だとおもわないかね
はたまたシュークリームと相対的且つ
同格として実在する金属片ないし紙片
とくに紙きれの方を求めることに
君、人生の意義はあるのだよ
街を出ると
暗闇に出くわした
しかし
せっかく開いた瞳孔は
直径十センチの光に
閉じられた
「あっ、おまえ、ふゆやきの食いすぎだ!」
友人の声が僕の顔を
ベロンと舐めた
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