平安時代に逆戻りー私は生きていけるの?

turtle

第1話身バレしたら?

「大君様、おはようございます」

私の1日はそこから始まる。侍女が持ってきたたらいで顔を洗い、言われるままに髪をすいてもらう。そう、平安時代は周囲が勝手にあれこれしてくれるので、何もしなくてもいいのだ。

 ここにきて数日は身バレしないか心配だった。高熱を出したせいで物忘れをしているらしい、た周囲は勝手に勘違いをし、私を労わってくれる。 

 令和の現代であさきゆめみしを読んでいた頃は不思議だった。平安時代、人々は文でやりとりをし、書画を書きそれで人となりを想像し、御簾から溢れるようにチラ見せをした衣の重ねや文のやり取りの際の付け合わせの花や扇のセンスを恋心を募らせていた。実際に会わずに恋に落ちてしまうなんて。。

 でも、実際行ってみると結構今た変わらない。

 実際にあった事のない人物の投稿を読み、フォロワーになる。インスタでセンスを見せる、等々。

「お姉さま、大丈夫?」

中の君が心配する。本当に綺麗な娘だ。

死ぬはずだった大君のくだりを読んでいたら私はいつのまにか物語の中に入ってしまうなんて、でもあらすじ変わっちゃうよなぁ。

 元々オタク女子である私はあさきゆめみしを読み込んでいるので、和歌の返歌は出来るし、字は体が覚えている。

と、また薫の君が返信をよこす。

いい感じ。だって現世では引きこもりの時長さんだった私がここだとみんなに傅かれる。

その上現代の知恵で庭づくりなどアドバイスすると、素晴らしいお姫様と噂が立ち、皆が宇治参りにと馳せ参じるようになる。それはそれでいいんだけど、なんか引っかかる。


 ある夜、薫の君が忍び込んで来た。......しちゃった。てへ。

「ねぇ薫の君」私は耳元で囁く。

「もし私が遠い未来から現れたらのだとしたらどうする?」

薫の君は、うっすらと笑みを浮かべて答える。

「まるでなよ竹のかぐや姫のような事をおっしゃるのですね。貴方と私は連なる枝、比翼の鳥」

あら、どうしたことか、二人の周りだけ空間が動き出す。


二人して、現代に戻ってしまった。

焦る薫の君に、私は説明する。現代の事、

全く要領を得ない彼は、スマホを見せた。操作の仕方を教えた。


今、彼は私の部屋にて居候だ。ネット中毒。

インスタもTwitterもブログもお手の物。最近はフォロワーもついて、それなりに自活しているらしい。

ま、いいか。

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