須磨歩とスマホの歩み

明石竜 

第1話


 124番、124番。……あった! よかったぁ! 嬉しい!


 わたしの名前は藤原須磨歩(ふじわら すまほ)。

 2022年3月初旬、そこそこ難関な国立大学に合格した。

 そこまで学力を上げることが出来たのは、学校で配布される教材に加えて、隙間時間に手軽に利用出来るスマホアプリ教材も活用したおかげだ。

 ちなみに試験会場の地図も合格発表も、スマホで確認した。

 そんなわたしの名前の由来は今や世界各国老若男女問わず多くの人々が持っているスマホ。ではなく、わたしと両親の生まれ故郷である兵庫県の須磨にちなんで名づけられたそうだ。

 須磨と共に歩み行くで須磨歩。

 そもそも、わたしが生まれた2003年当時はスマホなんて言葉はまだなかったのだ。折畳式の携帯電話が主流で、スマホという略称が普及し始めたのは、初代のiPhoneが発売された2007年頃かららしい。

 わたしの両親も、娘の名前と同じスマホという用語が生まれて、こんなに普及する世の中になるなんて思ってもみなかったって言ってた。

 わたしが幼稚園の頃から今までの思い出の写真や映像の数々が、わたしや両親の持っている何度か買い替えたスマホにも収められている。

 成長するにつれ、スマホの性能も進化してよりきれいな高画質になって来ている。

 物心ついた頃にはスマホに触れていたわたしにとってはもはや、娯楽にしても勉強にしても、スマホのない生活は考えられない。

 コロナ以降は、ショッピングに利用する機会も増えた。


 わたしも両親と同じく須磨は風光明媚で住みやすい街だと感じている。天気のいい日は明石海峡大橋も見えるし。

 新快速が止まればより便利になるなって思うけど、じゅうぶん満足だ。

 須磨にはスマスイの愛称でも親しまれ、リニューアル工事中の須磨海浜水族園、

レトロな遊園地【須磨浦山上遊園】がある須磨浦公園。王侯貴族のバラ園で有名な須磨離宮公園、オリックス・バファローズの準本拠地【ほっともっとフィールド神戸】を有し、様々なスポーツ競技が行われる総合運動公園。関西では最大級の須磨海水浴場、ハイキングが楽しめる須磨アルプス、敦盛首塚などがある須磨寺、一の谷合戦の古戦場などなどがあり見どころ満載だ。

 わたしも幼い頃から何度もそれらの地に足を運んだことがある思い出深い場所になっている。

 

 

 合格発表翌日、合格を祝して、家族で須磨海浜水族園へ行くことになった。

 先述のリニューアル工事のため縮小営業中で、イルカ・ライブも行われていないけど、それでもペンギン達や、入場してすぐの大水槽で多くのお魚達の泳ぎ回る姿が見られてとても楽しい。

 その愛らしい姿をスマホのカメラに収めた。

 2024年のグランドオープンも楽しみだ。その頃にはカメラ機能などがさらに進化したスマホも発売されているに違いない。

 午後からは、須磨離宮公園や須磨浦公園も訪れて、思い出の写真や映像をスマホに収めた。


                ☆


 4月、大学の入学式の思い出写真も、スマホに収めた。

 これからも、多くの思い出をスマホに収め、大学の講義や資格試験に向けた勉強もスマホも活用して励んでいくつもりだ。


 

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須磨歩とスマホの歩み 明石竜  @Akashiryu

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