部活を作りたい女子高生の話【KAC2021】
朝霧 陽月
第1話 新設?『ミステリー&ホラー部』
「無事高校に入学できたことだし、私『ミステリー&ホラー部』を作ろうと思うんだ」
「ミナコお前はいったい何を言ってるんだ……?」
「そういうことで、ケンちゃんは幼馴染みのよしみでこの部活に入るように」
「いや、俺は別にミステリーもホラーも全然好きじゃないんだが……そもそも、どこにその二つの関連性があるんだよ?」
「ほら、人が死ぬとか流血したりとかで残酷描写がある部分」
「その理由で二つをまとめようとしたのは正気とは思えないんだが、そもそも全部の作品で当てはまるわけじゃ……」
「ちなみに部活内容は、延々とミステリー作品とホラー作品の映画を見続けることです。なんと夏休みには合宿で12時間耐久にも挑戦!!」
「おい、そんな馬鹿なことするのに一体何の意味があるんだ!? 誰も入らないだろその部活、俺も嫌だよ……!?」
「なんと更に更に鑑賞する作品は厳選した、流血シーン多め残酷描写多めのハードな作品とします……!!」
「だからそこにこだわるのに、なんの意味があるんだよ!? というか、お前長い付き合いなのに俺がそう言うの苦手だって分かってないのか」
「もちろん知ってるよ!! むしろケンちゃんが苦手だからこそ、その辺りを突き詰めていこうと思いまして」
「最悪の発想だな、おい!?」
「えぇー、そんなことないよ? ただ私は、ただケンちゃんに苦手を克服して欲しいと思ってるだけで……ちなみに鑑賞の様子はバッチリカメラを回して撮影し、面白かった反応は後で動画にまとめます」
「いや、完全に俺の反応を楽しむ気満々のやつっっ!!」
「だから、本当に違うって……あとその動画は動画投稿サイトにも投稿して、上手く再生数を稼げたらいいなぁということも考えてるよ」
「俺を出しに使おうとするな!? そんなの絶対に嫌だからな!!」
「そんなこと言わないでさ、ほら目指せミリオン再生~!!」
「目指さねぇよ!? そもそも、その程度で再生数が伸びるほど甘くはないと思うぞ」
「あ、そっかそれもそうだねぇ……」
「そこは納得するんだな」
「うーん、それじゃあどうやって更にケンちゃんの醜態を盛ろうかな……」
「まてまてまてまてぇぇぇ!! そっちの方向に進むのはおかしい」
「でもケンちゃんだって沢山再生されたいでしょ? トップの動画投稿者になりたいでしょ?」
「まったく、なりたくないからなっ!? ましてや自分の恥を全世界に公開したいはずないだろうが」
「えぇー、私は全然そんなことないよ? だって恥をかくのはケンちゃん一人だけだからねぇ。私はその過程を見てるだけだし、むしろ楽しいと思うよ」
「清々しい笑顔で、鬼畜発言をするんじゃない!!」
「人の不幸は蜜の味、イエーイ!!」
「やめろやめろ!! いいかよく聞け、俺はそんな珍妙な部活には入らないし、動画素材になる気もないからな!? 絶対にだ!!」
「ちぇー、そこまで強く言われたら流石に諦めるしかないや……残念だなぁ」
「あー、まぁでも……」
「んん、でも?」
「そこまで変じゃない、遊びにたまに付き合うくらいなら全然構わない……ぞ?」
「いや、別に普通の遊びだったら、他の友達を誘うからケンちゃんはいらないかなー」
「…………」
「ぼっちのケンちゃんには悪いけど私結構友達多いし、ケンちゃんにばかり構ってられないんだよねー?」
「…………」
「だからさ、ケンちゃんも早めに私以外の友達を作った方がいいよ思うよ? あっ、それじゃあ私はこの後に友達と約束があるからバイバーイー!!」
「………………クソが」
部活を作りたい女子高生の話【KAC2021】 朝霧 陽月 @asagiri-tuyu
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