きっと、応援したい誰かが見つかるはず

 太古の昔より、有機的なネットワークを構築し、人間に擬態し、人間の社会を利用し、暗躍してきた菌類たちは、とうとう人類の大量絶滅を目指し始めた。
 六年前から、菌類に全てを奪われ、改造され続けてきた少年、野口は二人の老人の尽力で脳の改造を免れ、菌類たちとの戦いに挑んでいく。

 菌類とは何か。人間とは何か。
 つながることで得られる能力。繁栄と引き換えに、書きかえられていく大切なもの。

 なんでもできる。絶対に強い。すごい数字を持っている。だからこそ、欠落していくもの。

 力がなくても。軽んじられても。あらゆる場所にはびこる苦しみに、精いっぱい立ち向かうこと。変わっていく大切な人の尊さを信じること。

 現代においてあらゆる角度で描き尽くされ、それでもなお、追及されているヒーローという造形。その基本中の基本。どんな苦難にも決して頭を垂れないこと。

 この物語が表現する正しさは、パワハラでもロジハラでもありません。信じられなくなったはずの何かが、温かく心によみがえってくるのです。
 人間が人間らしく戦う勇気の賛歌。きっと、あなたの何かを変えてくれるでしょう。

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