デジタルコレクションより無料で閲覧可能な記紀と周辺の文献

 記紀や風土記、万葉集と言った書籍は市販で多くの書籍が発売されていますが、周辺の文献は中々発売されていなかったり、値段が張る場合があります。また、記紀などでも市販の書籍と注を見比べたり参考になる部分があるかも知れません。


 以下に国立国会図書館デジタルコレクションより著作権切れで閲覧可能な典籍を上げてみます。


・『古事記 : 新訂要註』武田祐吉 編 三省堂

 本文と訓読文と簡単な註釈付きです。

https://www.dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1036263


・『国史大系. 第7巻』

 『古事記』の原文が閲覧できます。同書には『釈日本紀』『先代旧事本紀』なども掲載されている為、上古の文学を本格的に研究したい方には便利かも知れません。

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/991097


・『古事記全釈』植松安, 大塚竜夫 著 広文堂

 大正時代の書ですが、原文、訓読文、口語訳と頭注を纏めて閲覧できるので初学者には便利かも知れません。但し、頭注の評価は高くない爲、本格的に研究したい方は別の注釈書が必要となります。

https://dl.ndl.go.jp/pid/983035


・『日本書紀 : 訓読. 上巻』黒板勝美 編 岩波書店

 現行で発売されている岩波文庫版の日本書紀とは別の書です。訓読文と簡単な註解解付きです。

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1029105


・『日本書紀 : 訓読. 中巻』黒板勝美 編 岩波書店

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1029096


・『日本書紀 : 訓読. 下巻』黒板勝美 編 岩波書店

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1107125


・『六国史 : 国史大系 日本書紀 再版』経済雑誌社

 寛文の刊本を原本とし、小中村清矩が内藤広前校本によって異同を注したものを、日本書紀通証、書紀集解など二三の書とを以て校訂を加え、明治期に国史大系第一巻として刊行されたものを、日本書紀通釈の他、北野神社本、醍醐三宝院本など諸本を就いて更に校正を施し、改訂増補を加えたものです。


https://dl.ndl.go.jp/pid/950693



・『新定万葉集. 上』武田祐吉 著 有精堂

 『万葉集』の書き下し文と脚注付きです。残念ながら現在、デジタルコレクションでは上巻しか無いようです。原文をお調べの場合は下記の佐々木弘綱, 佐々木信綱の共著をご覧ください。

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1127423


・『日本歌学全書. 第9編 万葉集 巻第1−巻第6』佐々木弘綱, 佐々木信綱 共編並標註 博文館

 『万葉集』原文と簡単な標柱付きです。

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/993409


・『日本歌学全書. 第10編 万葉集 巻第7−巻第13』佐々木弘綱, 佐々木信綱 共編並標註 博文館

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/993410


・『日本歌学全書. 第11編 万葉集 巻第14−巻第20』佐々木弘綱, 佐々木信綱 共編並標註 博文館

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/993411


・『万葉集辞典』折口信夫 著 文会堂書店

 『万葉集』研究で著名な民俗学者・折口信夫氏による辞典です。『万葉集』のみならず、古代の言葉や文物に関する辞典としても活用できそうです。

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/958698


・『風土記』武田祐吉 編 岩波文庫

 。市販の同書を買う必要が無いですね。

https://www.dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1173165


・『標注古風土記』 粟田寛 纂註 大日本図書

 『風土記』原文と若干読みづらいですが詳しい註付きです。

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/993215


・『新撰名家詩集』塚本哲三 編 有朋堂書店 (257コマから『懐風藻』)

 本書に含まれる『懐風藻』は現存する日本最古の漢詩集です。恐らく現在市販の書籍はなさそうなので、必要な方はどうぞ。

 大津皇子以外の詩歌の評価は低いのですが、大友皇子・河島皇子・大津皇子など数名の歌人については記紀には見られない伝記も書かれており、貴重な資料になっています。

https://www.dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/977945/257


・『古語拾遺』 加藤玄智 校訂 岩波文庫

 現行で発売されている西宮一民氏の古語拾遺とは別の書になります。

 宮廷祭祀に関わっていた斎部氏が中臣氏の風下に置かれたことにより、長老である斎部大成が不遇な立場を告発した書であり、多くの祭儀の記述が含まれることから、神話や古代の祭祀の研究には必須かと思います。

 また、単に斎部氏の立場を主張しているだけではなく、雄略朝で蘇我氏が三蔵を管理した事など、一部歴史書的な記述も含まれています。

https://www.dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3457563



・『六国史 : 国史大系 続日本紀 再版』経済雑誌社

 明暦刊本を原本とし、村尾玄幽著の続日本紀考証、岡本保孝著の続日本紀攷文、及び小中村校本を以て対校を加えたものを、秘閣所蔵卜部家本、尾張徳川家所蔵金沢文庫本等で更に校訂し、類聚国史、日本紀略、扶桑略記、類聚三代格をはじめ、参考諸書に照らして改訂増補したものです。

https://dl.ndl.go.jp/pid/950694


・『高橋氏文考注』伴信友 著 大岡山書店

 神事の御膳伴奉をめぐる高橋氏と安曇氏の相論に際して、高橋氏側の主張を官に提出したもの。個人的には現行で発売されている高橋氏文が含まれる書籍よりはこちらのが読みやすいです。割注が充実しており、索引付きです。只、マニアックなので研究者向けかな。

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1175589


・『新撰姓氏録考証. 巻之1−10』栗田寛 著 吉川弘文館

 同書の研究で著名な粟田氏の著書。古代氏族の研究には欠かせません。

https://www.dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/991614


・『新撰姓氏録考証. 巻之11−21』栗田寛 著 吉川弘文館

https://www.dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/991615


・『上宮聖徳法王帝説証註』狩谷棭斎 著[他] 裳華房

 聖徳太子の事績を記録した「伝記」として最も早く設立した文献の一つ。一部記紀よりも古い時代に書かれたと思われる内容が含まれています。

https://www.dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1054662


・『国史大系. 第7巻』経済雑誌社 編(99コマから『先代旧事本紀』)

 『先代旧事本紀』は物部氏、尾張氏の伝承を取り扱った書。記紀や古語拾遺の内容を切り貼りした偽書とはいえ『天神本紀』や『天孫本紀』には記紀には無い物部氏の伝承が記されており神話研究には欠かせませんし、『国造本紀』は史料的価値が見直されてきており、古代史研究には必須です。

https://www.dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/991097/99


・『仮名源流考. 証本写真』文部省国語調査委員会 編 国定教科書共同販売所

 『法隆寺金堂藥師光背銘』や『釈日本紀』が引用した『上宮記』逸文など記紀以前の文献と思われる史料などの証本写真。こんな凄いものまで無料で見れるなんて、国立国会図書館に感謝です。

https://www.dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1087719


・『群書類従. 第拾七輯』塙保己一 編 経済雑誌社

『古語拾遺』『日本霊異記』『新撰姓氏録』などの原文が閲覧できます。

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1879818?tocOpened=1


・『聖徳太子御伝叢書』高楠順次郎, 望月信亨 編 金尾文淵堂

 『上宮聖徳太子傳補闕記』『聖徳太子傳暦』『上宮聖徳法王帝説』など聖徳太子に関する伝記が複数あります。

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1057756


 現在市販のおススメの書につきましては過去のエッセイをご覧ください。


・市販の『古事記』でおススメの本

https://kakuyomu.jp/works/16816452219091770654/episodes/16816452219105993172


・『古事記』の次は『日本書紀』を読みましょう

https://kakuyomu.jp/works/16816452219091770654/episodes/16816452219106527451


・記紀周辺の文献(国内)

https://kakuyomu.jp/works/16816452219091770654/episodes/16816452219106837849

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