入門的な内容でお勧めの本
市販の『古事記』でおススメの本
古代史を研究するには先ずは記紀を読まなければならない事は言うまでもありません。
これから記紀を読もうという方で、日本古代史に興味を持たれた方、あるいは小説などで日本神話の作品を書きたい。その様な方は先ずは『日本書紀』よりは『古事記』から読まれるのが良いと思います。
理由としては先ず、『日本書紀』の方が文量が多い為です。『古事記』が全3巻ですが、『日本書紀』が全30巻(系図1巻は現存していない為に含まない)に及びます。
1巻ごとの尺が違うので単純に文量が10倍という訳では無いのですが、例えば岩波文庫の単行本の場合、『古事記』が1冊、『日本書紀』が5冊になります。
岩波文庫版の『日本書紀』の注や解説が充実している事もありますが、それを抜きにしても、神代から第33代天皇推古まで記載した『古事記』と神代から第41代天皇持統まで記載した『日本書紀』では文量に差があるのは明らかです。
次の理由としては『古事記』の方が比較的理解がしやすい事にあります。記紀に共通する史料に『旧辞』と『帝紀』(別稿で詳細説明予定)という史料があると言われていますが、特に『日本書紀』にはそれら以外の多数の文献を引用しており、「一書に曰く」と言う形で様々な話を引用しています。
様々な文献を駆使してある程度客観的な姿勢を取る『日本書紀』の編纂姿勢は評価できると思いますが、何が言いたいのか解りづらさにも繋がっています。逆に『古事記』は複数の話を引用する事無く、一本筋のストーリーなので解り易いです。
また、日本神話に興味がある方は『古事記』の方が神代の記述が長く、『日本書紀』では省かれている大国主の神話(因幡の白兎の話、八十神の迫害、根の国訪問など)や、
以下に市販の書籍で初学者でも読みやすいか、お勧めの書籍を挙げてみます。
◇『口語訳 古事記 [完全版]』 訳・注釈 三浦佑介 文藝春秋社
口語訳で読みやすいのがお勧めです。原典と違い神武天皇条を神代に当てたり、古老の語りが若干恣意的なのが気になりますが、入り口としては他の現代語訳よりも入っていきやすいと思います。
また、索引付きなので、ちょっとした事典代わりにも使えますが、王朝交代説を支持するなど古い記述もあるので注意してください。
これを読んで『古事記』を読んだつもりには成って欲しく無いですが、以下にご紹介させて頂いている別書の理解の助けには成ると思います。
◇『古事記』(上)~(下) 次田真幸 講談社学術文庫
一段ごとに書き下し文、現代語訳、注、解説が記されており、特定の段について掘り下げて調べるには便利かと思います。
注と解説が三浦氏の著書より専門的なので初学者には若干難しく感じるかも知れません。
◇『新版 古事記 現代語訳付き』 中村啓信 角川ソフィア文庫
『古事記』関連の本としては珍しく、書き下し文、現代語訳、本文が揃っており、索引付きです。「文庫として望みうる最高の内容をほこる」と自画自賛するだけあって、現在出版されている古事記の中では一番お勧めできます。但し、解説が簡潔な為、上記に上げた二つの書籍の脚注や解説と合わせて読むと理解がしやすいかと思います。
個人的には中村氏の古事記推しですが、先ずは三浦氏の古事記から入り、ストーリーの概要を掴んだ上で、次田氏や中村氏の古事記の書き下し文を読むのが良いと思います。
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