その書籍。専門家が書いた書籍ですか? 書籍購入前に確認すべきこと

 ブックオフの様な古本屋に足を運ぶと歴史コーナーの棚を確認する癖があるのですが、多くが刺激的なタイトル、過激なキャッチフレーズの著書で溢れています。


 さて、貴方が興味を惹かれ、それらの本を手に取った場合、まず確認する事があります。


 それは専門家が書いた著書なのでしょうか? 


 先ずはプロフィール紹介を読んで専門家なのかご確認ください。


 小説家? 読んで面白いかも知れませんが推理小説や歴史小説であっても、「通説」とは限りません。


 奇想天外な説? それって事実から遠いってことじゃないですか?


 在野の方が書いた書籍の場合、プロフィールを読めばバックボーンから史実の探求よりも明らかにも多いです。


 そんなものを読んでも時間の無駄なので、極力歴史学・考古学・国文学・民俗学などの専門家の著書を選んで読んでください。但し、建築学者の黒田龍二氏のような歴史学者の間でも評価が高い方は例外です。


 所属する団体や出版社も注意してください。政治的な目的が垣間見えたりしませんか?


 著者が不明な本? 論外です。


 あと、海外研究との比較の為に参考にしたい事もあるかも知れませんが、近隣諸国の歴史学者が書いた書籍も恣意的過ぎて参考になりません。


 そもそも自国中心主義で都合よく歴史を解釈するのは他国では常識なので。


 まぁ、左向け左の歴史学者の体たらくもあるから、特に古代史分野では素人が書いた様な著書が跋扈する魑魅魍魎の世界になったのかも知れませんが、先ずは歴史学会を席巻する所謂津田学徒や津田史観の先生達の本も読まないと


 冒頭で古本屋に並んでいる書籍が刺激的なタイトルで溢れている事を述べましたが、それらの書籍は大抵専門外の方が書いた著書が多いです。


 古本屋に並んでいるという事は一度は誰かが購入した書籍という事になりますが、そんなものしか読まれていないとすれば、古本屋の一角は嘆かわしい現状を反映している事になります。



*追記

 古代史に限りませんが、Webの情報でも基本的に参考文献やソースが明確でない個人サイト等の情報を鵜呑みにしないでください。カクヨムでも参考文献をすっとばした怪しげなエッセイが多々見受けられます。(そういうエッセイには参考文献を聞いたりしていますが、殆どの場合、返事が返って来ません)


 個人的には以下の様な内容であればある程度信頼して良いかと思います。


①取り上げている分野の専門家の名前・書籍が複数挙げられる。

 古代史で言えば例えば津田左右吉、粟田寛、坂本太郎、井上光貞、直木孝次郎、上田正昭。国文学ならば西郷信綱、菅野雅雄、大野晋、神野志隆光。考古学なら森浩一、小林行雄、佐原真、白石太一郎。文化人類学では大林太良、鳥越憲三郎。民俗学・神話学では高木敏雄、松前健、吉田敦彦、柳田國男、折口信夫、谷川健一、フレーザー。(他、当エッセイ紹介文の「参考・批評対象の学者」に載せている方々)などの出せる方であればかと思います。


②トンデモ本が参考文献に含まれていない。

 参考文献を明記していても原田常治、関裕二、林順治、小林惠子、田中英道、渡部昇一、竹田恒泰、大野七三、梅原猛、松本清張、戸矢学といった在野の方が書いたトンデモ本、持論の九州王朝説に固執するあまり歴史学会からすらも見放された古田武彦の著書や、版元がミネルヴァ書房や九州の某大学教授の様な古田信者の著書、地域ナショナリズム丸出しな九州の考古学者等の著書が含まれる場合は眉に唾を付けた方が良いです。(ただし批判の為ならばOK)これらの方の著書は歴史学者の論文に登場することはありませんし、割とフラットな立場の『歴史読本』と言った一般向けの歴史雑誌にすら紹介される事はありません。


 初心者向けの解説書が多い武光誠、瀧音能之、遠山美都男と言った方々の著書ぐらいしか出てこない場合も初心者向けの著書ぐらいしか読んだ事が無いとみて良いでしょう。


 一時期隆盛した江上波夫の騎馬民族説、水野裕の王朝交代説などは30年以上も前に歴史学会を始め、様々な方面から否定されており、論ずるに値しません。


 過激なキャッチフレーズ、人の目を引くようなタイトルは大体トンデモ本が多いです。

 歴史ミステリーにありがちな「~の真実」「~の隠された暗号」。他にも「最新の研究」とやらを連呼している人程基礎知識をすっ飛ばしている事が多々見受けられます。「100パーセント否定できない」等と言って珍説を推す人もアウトです。

 又、「日本書紀は不都合な事実を隠している」「歴史は勝者が創るもの」と主張をする人の方が文献軽視で、寧ろ自分の主張に都合が良いエビデンス無き歴史をしていたりする傾向にあります。


③ある話題に関して複数文献で検証し、多数の意見を参考にしながらも自分なりの答えを導き出している


 例えばAという説に対して、唯何も意見せずに本を丸写しするような内容(こういう人が実に多い)ではなく、賛成するBという説と反対するCという説を取り上げた上で、資料を駆使しながら自分なりの意見(賛成か? 反対か? あるいは自分なりの新しい仮説)を述べている。


 偏った意見をするなというのは難しいのですが、一つの説に固執せず、複数の資料や説を比較検討した極力中立的な視野で物を見ることができる方。

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