アナザーバベル

@Jonathan-jonathan

プロローグ

西暦20XX年、大阪湾に突如落下してきた謎の建造物。




 ニュースでは連日騒がれたそ・れ・は、外観はレンガづくりのような見た目であり、ダイヤモンドよりも硬いそうだ。




 そして、その建物は、地球では見たこともないような大きさだった。専門家によると、根本の直径は20キロメートル、高さは約上空1万メートルまで伸びているという。1万メートルといえば、ちょうど飛行機が飛んでいる高さだ。




 天を衝くようなその建物は、『バベル』と呼ばれるようになった。








◇◆◇◆◇








 大阪湾に『バベル』が落ちてきてから約1年後。




 自衛隊による内部調査により、『バベル』の一階部分が調べられた。そして、その半年後、国民の要請により調査報告が公開された。






 調査報告




 一階部分は未知のロボット達により管理されている。我々を敵対視はせず、むしろ有効的であった。




 そして、一階部分は凄まじく大きいデパートのようであり、未知の商品が並んでいた。取引にはAstraアストラという通貨を使うそうだ。




 ロボットたちは日本語を操る事ができ、意思疎通も可能であった。




 ロボットたちによると、この『バベル』は遊戯施設であり、二階以降の施設でアストラを稼ぎ、その通貨でデパート階の商品を購入するようだ。




 二階以降に入るには、この施設独自のID登録が必須であるため、安全面を考慮し今回の調査は行わない。




 ロボットたちはどこから来たのか、誰に動かされているかという問いには答えなかった。そのため、この施設が安全であるとは言い切れない。






 というものであった。国民は『バベル』の遊戯というものに興味を持ったが、一般人は『バベル』への立ち入りを禁止されていた為、国へ『バベル』の開放を求めた。








◇◆◇◆◇








 『バベル』が落ちてきてから約5年後。




 国は一年前からついに『バベル』への立ち入りを許可した。二階以降の調査が不完全なままであったが、人々の『バベル』に対する興味はもう抑えられなくなってしまっていたからだ。




 そして世界には、『バベル』で手に入れた商品が高額で出回るようになってきた。どんな怪我でも治る薬、美貌を手に入れられる薬、未知の機械など、たくさんの物が転売されていった。中には、人を蘇らせるものもあった。




 こうして、人々はさらに『バベル』の魅力に惹かれていった。








◇◆◇◆◇








 『バベル』が落ちてきてから約7年後。




 各地では『バベル』に関する新たなニュースが騒がれていた。『バベル』内部での行方不明数が増加した事と、『バベル』帰りのものが突如化け物になり、人を襲いだしたことだ。




 行方不明数の事は、恐らく内部で死んでしまったのだろうと思われている。二階からのエリアでは死ぬ可能性があると忠告を受けるそうだからだ。詳しくは分かっていないそうだが、危険なゲームであると聞いている。




 問題は、『バベル』帰りのものが化け物になる方だ。何でも、急に体が膨張し、暴れ狂って人を襲うらしい。化け物になった人の共通点が『バベル』の二階以降に行っている人だそうなので、原因は『バベル』ではないかと言われている。




 このようなニュースが巷で騒がれても、『バベル』の商品の魅力に抗えない者、一攫千金を狙う者、娯楽を求める者が次々『バベル』に訪れていく。

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