~漫才風会話劇~『走る』

維 黎

第1話

「「はい、どうもぉぉぉぉ。よろしくお願いしまぁぁすぅぅぅ」」


「いやぁ、今年も始まりましたねぇ『カクヨム・アニバーサリー・チャンピオンシップ』が」

「始まりましたねぇ」

「一回目のお題は何でしたっけ? 《おうじ時間》でしたっけ?」

「ちゃうわ。《おうち時間》や。なんやねん《おうじ時間》って? 王子に変身する時間か!?」

「――そんなわけないやろぉぉぉ。阿保ちゃうかぁぁぁぁ」

「いや、お前が言うたんやろがい」


「それはそうと、二回目のお題も出ましたねぇ」

「――あぁ、出たな」

「何か知って――ところでおたく、だれ?」

「相方や! 相方!!」

「アイカタッヤッ! アイカタッヤッ! アイカタッヤッ! Yes!」

「アイドルグループの曲みたいに言うなやっ!」


「……」

「……」


「いやぁ、今年も始まりま――」

「今までのこと無かったことにすなッ! つーか、文字数稼ぎやろ?   このくだり」

「……ちょっと何言ってるか分からない」

「マジもんパクるなや!! ――てか、いい加減先すすめようや」


「二回目のお題、平凡過ぎて難しくないですか? 逆に」

「――そうやな。わいもそう思うわ」

「何て言うんですか。いろいろ思いつきそうで、でもあれこれ考えすぎてしまいそうで。逆に」

「そうやなぁ。陸上的な話とか、追いかけっこみたいな話とか。ジャンルも悲劇とかホラーとか、割とすんなり思いつきそうやもんな」

「今、ぱっと何か思いつきます? 逆に」

「――改めて急に言われると困るけど」

「あぁ、そうですよね。改めて急に言われると困りますよね。逆に」

「――なぁ、その急に使い出した『逆に』ってなんか意味あんのか?」 

「ヘイ♪ べつにぃ~♪ OH Yeah~♪ 逆にぃ♪ ギャグにぃ♪ しよう――」

「やめいッ! ネタに書いてないことするなや! アドリブすぎんぞ! ラップのつもりか知らんけど、ぜんぜんちゃうからな!」


「……」

「……無かったことにはさせへんからな」


「――でも二回目のお題見て、改めて誰が考えるんかなぁと思ってしまいますよねぇ」

「それはカクヨムでそういう企画部みたいなのがあって、そこの人らが考えてんちゃうの? 知らんけど」

「えっ! そうなん? 全然知らんかったですわ!」

「いや、わいも詳しいこと知らんで。そうなんちゃうかなぁって思っただけやし」

「考えてみたら結構ありますもんねぇ。お題の物って」

「せやなぁ」

「知ってました? ボールペンって『ボールポイントペン』っていうらしいですよ」

「ほー」

「食パンは『主食用パン』。教科書は『教科用図書』なんですって。図書ってなんやねん! って感じしません? なんか笑えますよね」

「――いや、唐突に何の話してんの?」

「え? 何のって『カクヨム・アニバーサリー・チャンピオンシップ』の二回目のお題の話ですやん」

「……ボールペンとか食パンとか教科書とか。二回目のお題と何が関係してるんや?」

「嫌ですわぁ。省略して短くなってる物ですやん」

「――それが???」

「二回目のお題《はしょる》ですよ?」

「《はしる》やッ! やめさせてもらうわ」



「「どうもぉぉ! ありがとうございましたぁぁぁ」」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

~漫才風会話劇~『走る』 維 黎 @yuirei

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ