気味が悪いとは気づかずに日常を進んでいるような心地です。
企画ご参加、ありがとうございます! 父方の実家が海沿いなので、風景として海のイメージがあるのですが、そのイメージが暗澹と塗り替えられる感覚がありました。 海のイメージを塗り替える力として、狂気があるぞ、と思いました。 すごかったです!
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(243文字)
狂気的なのに美しいのか、狂気的だからこそ美しいのか。数々の展開に「何だこれ」と思うのに、描写、言葉選び、文のテンポ等も含め丁寧に彩られた世界観の美しさに惹き込まれます。ここまで美しく自身の世界観を魅せられるものか、と思わず感嘆の息が漏れましたし、正直なところ一アマチュア表現者として尊敬の念を覚えました。刺さる方にはぶっ刺さる、そんな作品だと思います。
筆者の描く退廃世界は読者の胸ぐらを掴んで引き込むほどの強い魅力があります。読み進めるごとに狂気の世界へ誘われ、戻れなくなりそうな感覚に危機感を覚えます。海という爽やかなはずの概念をここまで死で埋め尽くしてしまうのか。しかし、どこか美しい。だからこそ読みたくなる。
大好きです。多くの方に読んでいただきたい、自分はそう思いました。