紐遊び

里葉

プロローグ

薄暗い部屋に1人、女子高生がうなだれるような姿で壁に寄りかかり座っていた。

ただ、音はしない。

聞こえるのは、窓の外から聞こえるこれから帰宅するであろうサラリーマンが動かす車の音、交差点の歩道の音。かすかに聞こえる人の声。

カーテンは閉まっていた。

一向に微動だにせず座ったままの女子高生。


_チク、タク、チク、タク....


部屋の中で不気味にも秒針を刻む音だけが鳴り響く。


_ゴトンッ....


時間は夜の23時、錆びた鉄の匂いと共に何かが落ちる音。

女子高生の方を見やると首が下に落ちていた。

転げ落ちた首には赤い紐が巻き付けてある。

物音がした数分後、晩御飯に呼びに彼女の母親があがったが、ドアを叩くが反応がない。

様子がおかしいと察し、ドアを開けた。


「麻弥、なにしてるの?晩ご....きゃあ!」


死体で見つかった。

目の前で。

紛れもなく目の前にいる首のない制服を着た女子高生は娘である。

母親は後ろへたじろぎ、パニックに陥った。

その声を聞き付けたのか父親も駆け上がってきたが、立ち尽くしたまま、呆然としたまま一言呟く。


「な....なんなんだ....一体....」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

紐遊び 里葉 @mimi26

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ