清水霞とデートです
「……」
「……」
「まさかとは思ったけど、なんで」
「まさかとは思ったけどね、清水くん」
待ち合わせ場所の公園に現れたのは、紛れもなく同じ学校で同じクラスメイトの、
しかもワンピースをうまく着こなしている清水は、女子そのものにしか見えない。
「宮野さん私の事知ってて今日誘ったんですか?!」
わざわざコミケの日に「会いたいです!」なんて言ってきたやからは誰ですか。
「それもりも清水……ちゃん? なによその一人称。あんた学校ではバリパリの陽キャ男子じゃない」
「女装してて悪いですか。てか、何でそんなに驚かないの?」
「Twitterでね、あんたが出身同じですねって言った時にはもう予想がついたのよ」
プロフィールには性別”女” とあって、まぁまぁ可愛い感じだったのでスルーしていた。
「で、清水君……清水ちゃん、なんでクラスでは雰囲気さわやかイケメンなのに女装するの?」
「絶対引かないって、約束できます?」
「え……? 引かないよ」
それほどまでに誰にも言いたくのないことなのだろう。でも、なんで……?
「あの、実は……。私、女子に憧れているんです!!」
「でしょうね」
逆にそれ以外の理由があるのなら、そっちの方が気になるわ!
「何その反応! めっちゃ勇気出して言ったのに……」
「ごめんごめん、逆にそれ以外の理由があるのかなぁって思って」
「……家庭の事情とか?」
「真剣に答えんでええ。てかいいの? 相当誰にも言いたくないことでしょ? こんな私に言っちゃって」
クラスではあんまり喋らない私たち。なんなら、今日初めて喋ったかもしれない。そんな関係なのに大事なことを言えるなんて、私なんかしたのかな?
「こんなにも驚かない人初めてだったから、ちょっと新鮮で、話してみてもいいかなぁって思った」
「私あんたと同じクラスだよ? いつ広めるかわからないのに?」
「え? やめてくださいやめてくださいそんなこと考えてもなかっただす!」
清水霞、可愛いに加え涙目だから、なんだか自分がいじめているみたいに見えちゃう。反省反省。
「うそうそしないよそんなこと。それに……」
「それに?」
クラスの男子のこんな可愛い姿、誰にも言いたくない。なんて言えねいなぁ。
「何でもないよ。それよりもさ、どこか行きたい場所があるんだったっけ」
昨日
『明日○〇公園集合でいいですか』
『いいよ。時間はこの前決めた通りで』
『わかりました。明日のプラン、言われたとおりに決めておきました~。本当に良かったんですか、全部決めちゃって』
『うん、私あんまりそういうの決めれないタイプだから、助かったよ』
というやり取りがあったことを思い出す。女装同級生との女二人(?)DAYプラン。今思うと、少し不安さがある。
「えぇっと、まずはカラオケに行きましょう!」
「初っ端カラオケ?1 まだ朝の9時だよ」
今日この先のプランは不安でいっぱいになった。カラオケにそんなにいかない私からしたら、これが普通なのかと思ってしまう。
「宮野さん、これはデートですよ。今日は存分に楽しみましょう1」
《立ち読み期間》清水くんは宮野さんよりもちょっと可愛いです ちとせ そら @TitoseSora
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