毒虫
ある桜の森の中ほどに、
この毒虫ときたら、
毒虫はいつもひとりぼっちで、葉っぱの下や木の
ある夜、彼をかわいそうに思った
「毒虫さん、いつもひとりぼっちでさみしいでしょう。ここからもっと森の奥へ行くと、大きな桜の木がある広場へ出ます。そこへ行ってごらんなさい。きれいな
この言葉にうれしくなった毒虫は、さっそくその桜の木があるという場所を目指して、
梟に言われたとおり、森の奥へ、奥へと。
すると突然視界が
その桜の美しいことといったら。
辺りを飛びまわっている蝶の群れが、かすんで見えるくらい白い花を
毒虫はいよいようれしくなって、もっと近くで見たいと、その桜の木のほうへと這い出しました。
すると桜の木のまわりを飛びまわっていた蝶たちが、急に
「おい、なんだか、ヘンなのが来たぞ」
「こっちに
「あっちへ行け」
こんなふうに、毒虫に向かって
「帰れ、帰れ、帰れ――」
毒虫はなんだか
「ここは僕のいる場所じゃない」
そう思って
短編集 桜語(さくらがたり) 朽木桜斎 @Ohsai_Kuchiki
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