獄炎の舞

 、クィント・パル・フォルネーベル。こんせいもっとすぐれたげいじゅつとしてかれげるものすくなくない。フォルネーベルのさくひんふうけいおおく、とくちょうてきなのは、ようこうびた木々きぎ水面みなもうすむらさきいろえがかれ、かげなかにいるかのようにくらさをかかえていることだ。だが、かれはほとんどひとせっすることがなかった。すうげつかけてさくひんげると、できた使ようにんそうまではこばせる。かれかおはほぼだれにもられていなかった。

 この使ようにんもまたわったじょせいで、をセルシアといった。みなしというぶんからひとそくぐんられたが、14さいときせつこったさわぎにじょうじてだっそうこうすうねんかんがいわたあるき、そこでフォルネーベルのった。セルシアはとうめいフォルネーベルのかれ、そくさんもんられていたのをあさり、そうさくかつどうえんするとみずかたのだ。

 セルシアがかれ使ようにんとしてはたらくようになると、くのにせんねんできたからなのか、あるいはかのじょのマーケティングりょくあってなのか、そのこくないがいで知られるようになった。


 1967ねん3がつ25にちしつかいだんからすすにおいをかんじたセルシアはした。かれかいとどろかせてこうもこのくににとどまりつづけ、ぜんきをしていたがいからそうとおくないしょに、しんかせぎにはそうおうおおきくないていたくとそのしつさくひんてたのだ。ろんじょうじゅうぶんおこなっていたのだが、フォルネーベルしんがセルシアがい使ようにんさくひんかんにかかわらせることをきらったため、さくひんそんざいものほかにいなかった。

 しつのドアをけると、さくひんちゅうおうさかほのおと、それにべんとしているじんぶつかげ。セルシアはおどろきとどうよう、そしていかりをおぼえ、ホルスターからじゅうはっぽうした。だんがんかわいたおとともとうちゅうしんつらぬき、しんしゃぼうれのようにたおれる。そうにもあぶらでもかけられていたのか中々なかなかえず、いきおいがおさまったころには、べられていたとおもわれるなんてんかのすみしていた。

 のこったじょうたいかくにんしたあと、しんしゃたいあしころがしかおのぞんだ。セルシアはそのかおひどおびえた。じゅうだんよこからけたざんなそのかおは、まぎれもなくフォルネーベルほんにんだったのだ。

「ひひっ」

 かのじょせいくしていた。なんたなたいたりし、すみとなったかじり、みずからのしたあごからのうてんつらぬくようにじゅうがねいた。


 めっないフォルネーベルと、もともわからないセルシアのことだったので、姿すがたずともあまりにかけるものはいなかった。すうじつしつつかったのは、きょうみをかべたセルシアと、あばれたセルシアになんまれみょうたいせいがっていたフォルネーベルとおぼしきろうじんだった。

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トライポフォビア 亞屍(あかばね) @Akavane

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