夕暮れペインター

たすかったよ、ぜんにんしゃんじゃってさぁ」

 あまりにかる調ちょうは、やはりそのみちものとしかおもえないものだった。

かんたんごとなのにすなんてね⋯⋯やっぱり、ここににんげんっておとってるのかな。」

 あるきながらはなしょうじょは、そのたけからはそうぞうもつかないくらいれいこくはなしぶりだった。ひとどうとしてあつかっているにんげんぐさだ。

 ろうかべこしくらいのたかさにならぶ、ヴァニタスの。それらがしゅほうからうできのによるものであることはわかったが、だいかがまないとえないにあって、それがきょうぞうふくさせた。つうこんなひくかいかざらない。大人おとなせんたかさにそろえないのは、これらのが、ほかでもない、まえしょうじょためかざられているからだ。――つまり、ここのあるじかのじょである。

 このしょうじょかんしゃくひとぬのだ。このなかどくは、わたしなのかもしれない。

「なかなかいいだろう? なんというか、こうしたにはかれるものがある。はいすいじゃくがんかい如何いかはかないか、きみにはわからないだろうがね。」

 しばらくすすむと、しょうじょまえあらわれたドアをけた。とつじょあおはんきゅうくうかんひろがる。ぜんなほどにあざやかないっしょく

 あとつづくしかないわたしは、そのくうかんあしれる。はんきゅうちゅうしんまると、わたしてきたのは、短銃ピストルれないだんがんだった。

まいにちていこくかえるへびごえがそれぞれこえるから、それをこの短銃ピストルってほしいんだ。」

 わけのわからないだ。あつられているわたしかまうことなくつづける。

どくはないからあんしんしてちかいていいよ。こうもおそってこないはず。たまはずしてもいいけど、ぶんつのだけはやめてくれ。へびかえるがいないときは、ゆうごしてかまわない。」

 それだけうと、しょうじょもとたドアからってしまった。


 しばらくすると、ほんとうかえるごえこえてきた。まわすと、いっぴきひきがえるがすぐちかくをねていたのだ。

「いつのに⋯⋯どこから?」

 かべいちめんあおで、どこにもすきはない。なかじゅうがカチャリとる。

「そうか⋯⋯たなきゃ⋯⋯」

 ひきがえるじゅうけてがねくも、からちのおとたまめていなかったのだ。そうてんだんケースにれられただんがんきんぎんしゅるいあり、きんほうにはかえるこくいんが、ぎんほうにはへびこくいんきざまれていた。きんいろだんがんり、マガジンにそうてんする。ガタガタとふるえるじゅうしんさえ、さいがねく。

 しん、としていた。れつおんらぬっていた。かえるはじわじわとひろがっていく。やがてあおいっしょくだったかべいろまっていく。にじあかいちめんひろがっていく。なにこったのか、わたしにはからなかった。

 しばらくていると、なまにくとおってげていくように、あるいははながゆっくりとれていくように、かべいろあかむらさきからあおぐろわっていく。


 なんにちち、なんびきへびかえるつづけたところでようやくがついた。このてんきゅうなのだ。わたしが、あさゆうそらいろっている。


「あーあ⋯⋯。」

 まえたいて、しょうじょあたまく。

「まぁいいや、けいけんからしてもはちげつきたのはったほうだ。つぎのをさがしにくか。」

 ろうひびあしおといたのは、かいなかがいこつだけだった。

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