舞台はお江戸。かの有名な田沼意次が権勢をふるう時代。
主人公は鳥天狗と呼ばれる妖。
彼の名前を紹介したいところですが……非常に困ったことが。
なんと、彼は突然の火事をきっかけに、名前どころか、記憶も故郷もすべてを失っていたのです。
助けてくれた鬼の零に「睦樹」と名付けられた彼は、萬事処『あやかし亭』で仲間と共に火事の謎を追うことになるのですが……。
丁寧な描写と綿密なストーリーの本作。とにかく、クオリティが高いと思いました。
ジャンルは歴史物なのですが、ミステリーとしても読みごたえは十分です!
最後に。
歴史物語って、ある種の別世界を楽しむことも醍醐味だと思うのですが。
我々の現代は、確かにその歴史を重ねつながった上にあるのだ、ということを本作を読んで考えてしまいました。
お江戸ファンタジー、落語、妖怪、札差、里山の役割、他にもたくさん、色々詰まっていて、深い。
文章が詰まっていて長いので、読みずらさは多少ありますが、
それが気にならないくらい面白くて続きが気になる。
展開が早いから、あっという間に最後まで読めてしまいました。
一人一人のキャラが立っていて、他のキャラの過去も是非読んでみたいと思います。
文章に雰囲気があって、読みやすいのでスラスラ読めちゃいます。
悪い人も出てくるけど、彼らなりの正義があって、読了後、すっきりした気持ちになれます。
あやし亭の皆の距離感が好き。必要以上に近づきすぎない、ちょうど良い距離をお互いに知っている感じ。
作中で志念が「居心地が良い」というのはそういうことなのかなと思う。
読んでいるうちに彼らが好きになりました。
沢山の人に読んでもらいたい、心が温まるお話です。
とにかく面白い! 作り込みが深い! 泣きながら一気に読みました。読後感が良い。
作者様の別のお話を目当てにカクヨム登録して、異世界ファンタジー?の方を先に読みました。
途中でこの話を見付けて読み始めたら、止まらなくなりました。
全体のストーリーもしっかり練られていて読みごたえがありましたが、
登場人物一人一人の性格や、抱えている過去が見え隠れする台詞に強い個性を感じます。
キャラが立ってるっていうんでしょうか。個人的には深影がとっても可愛いと思う。
何気ない台詞の一つ一つにも意味を感じて、「この言葉は深い…」と思ったりしました。
紫苑の正体とか、あやし亭の他の面々の過去とか、まだ明らかになっていないエピソードが沢山あるので、続編があるのかな?と期待しています。
続きがアップされたら絶対読みます。
ネタバレしないように書くの難しいですが、多くの人に読んでもらいたい。
絶対に面白いです。後悔させません。