第9話:復讐
私にも我慢の限度というモノがあるのです。
まあ、隠遁生活が辛過ぎたという事もあってイライラしていたのもあります。
ですがそれ以上に、信じていた人間に裏切られたという想いが強いです。
私はカーカム男爵は立派な将軍だと思っていたのですが、違いました。
ファインズ辺境伯領の民から二重に搾取していたのです。
隠れている未開地から時々開拓村に生活必需品を交換に行くのですが、そこにカーカム男爵が部下を送って兵糧と軍資金を強制徴発していたのです。
それでなくてもファインズ辺境伯家に高率の税を徴発されているのにです。
しかも開拓村の娘や夫人を輪姦しようとまでしました。
私は切れてしまってカーカム男爵の部下をぶち殺してしまいました。
もう亡父のような立派な騎士になりたいなんて言っていられません。
それよりも領民を護る方が大切です。
カーカム男爵が悪なのか、配下がカーカム男爵の名を騙っているのか、真実を確かめるために派遣させられるだけの使い魔を領内各地に派遣しました。
残念ながらカーカム男爵が悪でした。
私は後先考えずにカーカム男爵をぶち殺しに行ってしまいました。
有り余る魔力を身体強化に使い、駆けに駆けて使い魔が見つけてくれたカーカム男爵の居場所に辿り着いて、一刀のもとに首を斬り飛ばしました。
そのままカーカム男爵の陣中を暴れ回りました。
陣中は血飛沫と血臭が満ち溢れる、血の乱舞と言えるくらいの暴れ方でした。
正気を取り戻した私自身が引くくらいの惨状でした。
正気を取り戻してようやく現状を正しく把握できました。
王国は私の婚約者だったボドワン第二王子殿下を総大将にして、ファインズ辺境伯家を攻撃しています。
このままでは最悪ファインズ辺境伯家が取り潰されてしまいます。
ボドワンを公爵に臣籍降下させてファインズ辺境伯領を与える事も考えられます。
まして私は王家の信頼するカーカム男爵と配下をぶち殺してしまいました。
ここは何としてでも手柄を立てなければなりません。
私が手柄を立てなければ、父上の大切にされていたファインズ辺境伯家がなくなってしまいます。
★★★★★★
「お久しぶりでございます、ボドワン第二王子殿下。
今回の件を引き起こしたアドリーヌとアドルフを連行したしました。
どうか検分願います。
それと、残念な事ですが、カーカム男爵がファインズ辺境伯家の民から不当に税を略奪し、領民に暴虐の限りを尽くしておりました。
あまりの事に怒りのあまりカーカム男爵主従を誅殺してしまいました。
お調べの上で公正な裁きをお願いいたします」
「おお、よく生きていてくれたブリジット。
何も言わなくていい、カーカム男爵の事は分かっている。
ブリジットが生きていてくれたのなら、他の事はどうなっても構わない」
ボドワン殿下が手放しで私の無事を喜んでくれます。
それどころか人目も憚らずに強く抱きしめてくれます。
これは、私との結婚を考えてくれているとしか思えません。
どうやらファインズ辺境伯家は安泰のようですね。
母親の愛人に虐待され続け、異父妹に婚約者を奪われそうになりました。 克全 @dokatu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます