15話
[堕神器【禍輪】【葬月】に主人と認められました。]
[堕神器の主人になったことによりスキル・禍輪・葬月を獲得]
[呪力が許容値を突破。種族:人間から種族:呪人に進化します。]
[進化に伴い、種族スキル・呪血・呪眼・呪体・呪詛収集・殺業回復・呪術を獲得。ユニークスキル・呪怨天骸・憎怨呪海・嗤死森林・讐怨惨地を獲得。ユニークスキルはオリジンスキル・◾️◾️◾️◾️◾️◾️に統合されました。]
[死と循環の大神ズアールが貴方に興味を示しました。]
[死と循環の大神の眷属神、怨嗟と呪詛の神、及び浄化と輪廻の神が貴方の行いを賞賛しています。]
[怨嗟と呪詛の神の加護を獲得。浄化と輪廻の神の加護を獲得。]
[加護の獲得により特殊スキル・怨淵呪珠・浄輪蓮華を獲得。]
[新種族"呪人"の後援神の選定を開始します。]
[怨嗟と呪詛の神が立候補しました。浄化と輪廻の神が立候補しました。憎悪と怨讐の神が立候補しました。葬送と先導の神が立候補しました。罪歌と罰則の神が立候補しました。復讐と仇討の神が立候補しま……死と循環の大神が立候補しました。]
[大神権限により後援神は死と循環の大神が選出されました。]
[大神権限により始まりの呪人を始祖に認定します。]
[貴方はこの世界で初めての種族、呪人になります。おめでとうございます。]
[世界に通達。この世界に新たな種族、呪人が誕生します。かの種族は呪いと生き、呪いを愛し、呪いに愛された、呪詛と愛憎の種族です。どうか暖かく迎えてくれると幸いです。以上。]
唐突に高速でアナウンスが流れると共に体からボゴボゴと異音が聞こえ始めた。
「いってええええ!?」
体が内側から張り裂ける様な痛みが全身に走る。
「ふん?今のはまさか世界の声か?もしかして呪人とはシュバルツ君の事か?」
「兄貴!んな事言ってる場合か!すげぇ勢いで呪詛が集まってんぞ!このままだと俺らもやべぇぞ!」
フルストゥ様とロックさんなんか言ってるがこちとら痛みでどうにかなりそうなので内容が頭に入ってこない。
「確かにそうだね。『清塩の波濤』」
フルストゥのスキルが発動する。地面から溢れ出で全てを飲み込む白い波。
しかしそれは液体ではなく。清められた塩の大波。その特性は負なるものへの特攻。故に呪詛に対しても大きな力を発揮する。だが、どれ程の効果を持とうと、広大な砂漠の砂を如雨露の水で潤す事など出来はしない。
『邪魔をするな!』
清塩の大波はシュバルツに辿りつく直前にその間に割り込んだバーディンに触れた途端に黒く染まり溶け出した。呪詛と怨嗟の塊に触れた清塩は清めるどころか逆に汚染されてしまったのだ。
しかし継続して吐き出され続ける清塩の波は止まる事なく、武器庫を満たそうとする。
【無粋!真に無粋!】
【私達の子に手を出さないで。】
担い手を得た事によりその力を発揮することができる様になった戦輪達がひとりでに浮かび上がる。
そして放たれる黒い炎と濁った光。
黒炎と濁光は白き波濤を消し去り、その術者へ向かう。
「『神聖障壁』!」
「ふむ、『聖塩の壁』」
輝く半透明の力場がロックの右手を起点として展開され、それを覆う様に光を放つ塩が壁を覆い補強する。
黒炎と濁光が聖塩の壁に激突する。今度はどちらかが押し負ける事なく拮抗する。
「どうする兄貴!?あの戦輪共も邪魔だがあの召喚獣が何より厄介だぞ!」
焦るロック。どうにか攻撃を抑えているが集まる呪詛の莫大な量にシュバルツの安否が気になってしょうがないようだ。
「ふ、む。さっきの世界の声は呪人と言っていたね。となると今起きているこの現象は進化の過程だとすると先程の召喚獣の言葉と辻褄が合う。ならば呪詛が街に拡散しない様に手を打ちつつ様子見が最善か?」
「戦闘中に熟考するなよ兄貴!あの呪器共の攻撃徐々に威力が増してやがる!時期に壁も破られる!そうなると呪詛が街中に拡散するかもしれねぇぞ!?」
ぶつぶつと自らの推測を垂れ流すフルストゥに文句を言いつつスキルの出力を高めなんとか攻撃を防ぎ続けるロック。
「ならばこうするのが正解かな?『永塩晶結界』」
フルストゥが両手を合わせスキルを発動すると、次は塩の波ではなく人程の大きさの塩の結晶体が現れた。結晶は肥大化し分裂し、その数を爆発的に増加させてゆく。
結晶は全ての障害物を透過し、通り抜け、館を球場に覆っていく。
フルストゥの魔力が続く限り無限に増殖し、結界を形成しその浄化能力を指数関数並みに増大させ結界内の不浄を一切合切消し去る強力な結界術である。
そしてフルストゥは気づいていないが結界が定義する不浄には人型の呪いと言っても過言ではない存在に成りつつあるシュバルツそのものも含まれる。
『やめろ!やめろ!僕らの子を!』
『私達の光を!』
『俺らの希望を!』
『我等の最後の極光を奪うつもりかアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァ!?』
結界の能力を察したバーディンが叫ぶ。暗闇の中に浮かぶ小さくちっぽけな、されど暗闇にあっては眩い光。己達を見つけだした最初にして最後。死の申し子にして死の寵児。何よりも、文字通り何よりも大切な我が子の危機にバーディンがその力を解放しようと骨の腕を動かし…
【《『「そこまで。」』》】
世界が啼いた。
【《『「刻よ、一時死に絶えよ。」』》】
刻が死んだ。
【《『「空よ、
空が止まった。
【《『「呪よ、我が写し身を形成せよ。」』》】
死にして循環そのものが現界した。
黒の頭髪。黒の目。黒の肌。黒の衣服。そして背に巨大な黒の円環を背負う。その身と纏う全てが
【《『「世界よ、幾久しく。」』》】
シュバルツに集まっていた呪詛を形代とし、この世に現界した大神。
死と循環の大神ズアール。
【《『「帰還を歓迎しよう。我らが元星の子であり、我が死の寵児にして、現黒山羊の子よ。」』》】
死した時の中で、循環を止めた世界の中で神は笑う。
「はぁ、はぁ、次から次へとなんなんだよ。」
刻が死に、空が
狂笑の召喚士 〜世界は残酷なれど、それでも世界は美しく。 童慈 @douzi0718
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