第889話小姫さんの告白
小姫さんに連れてこられた場所は、屋上だった。
屋上は普段からほとんどの人が来ないから、何か二人だけで話したいことがある時などは打ってつけの場所だ。
「小姫さん、俺に話したいことっていうのは・・・?」
「・・・その前に、今から話すこと全部聞いたら、すぐに消えて」
「・・・え?」
「だから、私が今から話すこと話したら、すぐにこの屋上から出て行ってって言ってるの、それを守ってくれないなら話さない」
話さないって、元々小姫さんの方から話したいことがあるって言ってきたのに・・・でも、小姫さんがあんなに真面目な表情で話したいことがあるって言って俺のことを引き止めた理由は気になるため、ここは小姫さんの言う通りにしよう。
「わかりました、小姫さんの話を聞いたら、すぐにこの屋上から出て行きます」
「・・・じゃあ話してあげる」
すると小姫さんは、相変わらず言葉は強かったが、それでも表情や態度はいつもよりも落ち着いた様子で話し始めた。
「私こんな性格だから、今まで男子とそこまで話したことなくて、私って可愛いから告白されることは何回もあったんだけど、私に釣り合うような男が全然居なくて全部振ってきた」
そういえば前に一度小姫さんが告白されていて、バッサリなんていう言葉のレベルじゃ無いほどバッサリ振っているところを見たな。
・・・あの時は相手の男子生徒もどこか様子がおかしかったけど。
「でも、君だけは・・・どれだけ私が酷いこと言っても、どれだけ私が変でも、ずっと私と関わり続けてくれる」
「・・・小姫さんは確かに普段酷い言葉を言ってきますけど、俺がバイトをしたいって言ったら一緒にバイト先を探してくれたり、俺だけじゃできないかもってそのバイトを手伝ってくれたりして、小姫さんとの時間は、楽しい時間もたくさんありますから」
俺が思ったままを伝えると、小姫さんは小さく笑って言った。
「そんな君のことだから、きっと私は・・・好きに、なっちゃったんだろうね」
「・・・え?」
・・・好き?
・・・好きって、え?
・・・この場で使われている好きという言葉が、友達的な意味ではなく、恋愛的な意味であることは俺にもわかる。
「小姫さ────」
「は、はい、話終わったからから、早く出て行って」
小姫さんはさっきまでは落ち着いた表情をしていたが、次第に頬を赤くしていってそう言った・・・だが、当然それだけを聞いて簡単に出て行けるはずもない。
「ま、待ってください、そんな────」
「バカ!最低!良いから早く出て行って!!告白するのとか初めてで恥ずかしいから、今はお願いだから出て行って・・・」
「・・・わかりました」
色々と聞きたい気持ちはあったが、小姫さんが今までにないほど恥ずかしそうな表情をしていたので、俺はその気持ちを汲み取って屋上を後にした。
小姫さんが、俺のことを・・・
俺はいきなりのことに驚きながらも、そのことについて考えながら教室に戻った。
◇
更新が遅れてしまい申し訳ありません!
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俺の転校先の学校の隣の席は完璧美少女元カノだったー嫉妬さえ失くしてくれたら完璧美少女なのに〜 神月@『メイド王女』書籍化決定! @mesia15
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