「無痛症」という病をご存じですか?
いっさい痛みを感じないというこの病、一見便利そうですが、怪我や病気をしても気づかなかったりと様々不都合があるのです。
この病を患っている少年虹は、ある日、末期ガン患者である少女、羽子と出会う。痛みに耐えながらも、やり遂げたいことがあるんだ、と彼女から聞かされた事で?
何より上手いと感じたのは、作品全編を通して病の設定を活かしきっていることでしょうか。
虹がいなければ、羽子の願いは叶わず。また、羽子の存在が、虹の生きる意味となるのです。ここは本編で確認して欲しいのですが、病の存在がむしろ二人を結び付けるきっかけとなったのですね。
また、二人を暖かく見守るサブキャラ陣も個性的。その中には意外な人物も含まれていて、読み手に向けたちょっとしたサプライズもあるのです。
10万文字という読みやすい分量で纏まっている本作。お勧めできる、青春恋愛作品です。
人との別れはとても寂しく苦しいものなはずなのに、この二人の別れからはとてもあたたかいものを感じられました。
羽子さんは虹くんに出会えたからこそ、自分の人生の最後を締めるにふさわしいと心から思える作品を完成させることができた。
虹くんは羽子さんに出会えたからこそ自分の人生をしっかり見つめて、無気力に生きていた今から、夢を叶えるため未来に向かって動き出すことができた。
羽子さんがいなくなってしまった後も、虹くんのとなりにはいつも羽子さんがいるんだろうなぁと思いました。
羽子さんのために虹くん自身が苦しむことを選ぶ姿は、恋愛感情を通り越してまるで家族みたいな愛情になっていたんじゃないかなって。
大切な人のために危険な行動まで起こせる虹くんは、羽子さんにとって心の支えであり、私にとっても憧れの存在でした。
虹くんは優しすぎる。もっと自分のことを大事にしてほしいくらいだけれど、きっとこれが虹くんの選んだ人生であり未来なんだなと思ったら、虹くんらしいなと思ってしまいました。
羽子さんがいなくなった後でも、虹くんには羽子さんの影響がたくさん残っていて、これが人と関わるってことなのかな?と思いました。
その人と出会えたからこそ得られるものがある。いなくなってしまうことが全てを奪っていくのではなく、新しいはじまりを生み出してくれることもある。1つのきっかげで人の人生は大きく変わることもある。
ふたりの人生の青春やきらめきが詰まった日々を覗けて、とっても貴重な世界が見られました✨
糸四季さんらしい真っ直ぐな世界観がだいすきです🥰これからも全力で応援しております🌸💪🏻
無痛症の主人公の虹は、ある日病院で、末期癌の女性、羽子と出会う。
虹は、痛みに耐えながら絵を描こうとする羽子に手を貸すことに。
面白かったです。文章がとても綺麗で読みやすい上に、キャラクターも一人ひとりが魅力的でした。
"好き"とはちょっと違うのですが、司狼に惹かれました。積極的に友達になりたいタイプではありませんが、あの危うい生き方が格好良いとも思います。
物語のベースは難病ものですが、そこに、すこし不思議、青春、ちょっと歪んだ友情、といった要素がバランス良く絡み合っていて、新鮮さも感じました。
虹と羽子さんの絶妙な関係性がとても良いです。
決して恋ではないけれど、そこに愛のようなものはあって──みたいなやつ、大好きです。
終わり方も最高です。
これしかない!と思えるようなラストでした。たぶんみんな好きなやつ!
誰にでもおすすめできる、素敵な作品です。