魔力って

やはり魔法で治すことができるとは言っても打たれた瞬間はかなり痛い思いをするミリアの為になんとか眠らずに午前は授業を受ける事ができた。


あくまでも午前中はだ、昼食後お腹が一杯になった後は我慢できるわけがない


ミリアが何回棒で打たれたのかわからないぐらいになってから本日の授業が終了した


「アルト様」


ミリアが笑顔でこちらに話しかけるがかなり怖い、怒っているのを無理に笑顔で誤魔化している感が強すぎる


「今日は17回でございます、次の授業は1回でも少なくしていただけると嬉しいです、勿論打たれて痛い思いをするのが嫌と言うわけではなく、アルト様が注意を受けることを心配しているだけですからね」


数えてたんだ、後半の方はもう起きなさいとも言われずにミリアが木の棒で叩かれる音で起きていた気がする


「お姉ちゃんだけの時もたくさん叩かれたの?」


「アマンダ様は寝ることはなかったですがよそ見をすることが多かったのでそれで注意をされましまね」


「だって窓からアルトが見えたら見ないともったいないもん」


どんな理屈だよ、なんか授業を受けるのが2人になって叩かれるのも2倍になるなんてミリアも大変だな


「叩かれる役ってミリア以外がするのってダメなの?どうせなら男の人の方がいいな、そしたら僕も気にならなくなるんだけど」


「それなんの意味があるのですか?アルト様が大好きな私が叩かれ、それを気にすることで改善される意味があるのですよ」


なんか俺がミリアのことを大好きってことになってる、確かに嫌いではないがまだ転生してからそこまで日数が経っていない


「アルトは私のことのほうが好きだよね?」


アマンダはそこで入ってこなくてもいいよ、確かに子供は昔から好きなほうだったがグイグイくるアマンダはちょっと怖い


「もちろん2人とも大好きだよ」


「ずるいですね」


これからの生活もあることだしどちらか1人を選ぶなんてできるわけない


「そんなことよりもっと勉強したいんだけど蔵書室ってどこにあるの?」


「一階の1番奥の部屋ですよ、ただ鍵が掛かっておりまして、奥様が持っています」


「お母様はどこに?」


「お出かけしてますので夕食時にはお戻りになると思います」


夕食までにはまだ時間あるし庭で体力作りでもしよう、走り込みは少し飽きたので素振りでもすることにしよう


「ミリア素振りしたいのだが適当な棒はないか?」


「まさかケイト先生を叩く練習ですか?」


「そんなわけないだろう、ただの鍛錬だよ」


ミリアが叩かれたことにより敵を取るとでも思ったのだろうか、ケイト先生は自分の職務をしているだけなので恨みに思うわけがない


3本候補を出してくれたので手に取り振ったりして1番良い感じの物を選んで


「これにするよ、ありがとう」


庭で素振りをする、上段に構えて上から下に振り下ろす、その時に重要となるのは振り下ろした時にピタッと止めることだ、思った通りの場所で止めるのはうまくいかないものだ


最初は空気が抜ける変な音しかしなかったが、段々と切り裂く音に変わっていく、回数を数えていくとノルマみたいになってしまうので、自分が気に入った素振りが出来るまで続けていくつもりだ


しばらく続けてはいたが最後まで理想の素振りはできなかった、初日からうまくいかなくても嘆くことはないか


「アルト様お食事の時間です」


ミリアに呼びれて家の中に戻ると


「アルト様その手どうなされたのですか?」


自分ではあまり気にはしてなかったが木の棒のささくれが平に刺さりうっすらと血が滲んでいた


「大したことはないよ」


「いけません、すぐに治します」


ミリアの手が俺の手の平に触れ白い光と共に血が一瞬で消えた、前にミリアが使った回復魔法なのだろう、白い光が出た瞬間なんか言葉では表せない感じがした、何かが体の中に入ってきたような感じだ


「ありがとう」


「いえ、奥様もお待ちなのですぐにお食事にしましょう、スープが冷めてしまいます」


食事の席では


「お母様、もっと勉強したいので蔵書室の鍵を貸してください」


「もちろんですよ、好きなだけ読むといいですよ、ただ貴重な本も多いので汚したり傷をつけたりしないように気をつけてね」


蔵書室立ち入りの許可をもらえたので食事が終わったら即向かった、さすが歴史ある貴族の蔵書室だけあって本屋並みの品揃えだった、目的の本は魔法関連だ、6歳になるまでなんて待っていられない


本屋とは違ってジャンル分けされている様子ではなかったので探すにはかなり手間取ったが、1時間ほど掛けてなんとか"魔法入門"と題名の書かれた本を見つけた、後はこれを部屋で読んでばれないように戻せば良いだけだ


ミリアに見つかると没収される可能性があるため、適当な本の間に挟んで自分の部屋に戻った、まるでエ○本を隠れて買った高校生時代を思い出した


部屋の鍵を掛けベットに入り毛布で顔まで隠し、これで準備完了、早速禁断(3歳では)の魔法について読んでいこう


"魔法とは魔力を行使した結果である、魔力は体内に宿る、魔力を活性化することによって色々な物に変換する事ができる、火や水や風などが一般的ではあるが極めれば瞬間移動もできるし、空を飛ぶことも出来る、魔力を知覚させるには魔力を流してもらうのが最も早く覚醒させる方法である"


今日俺はミリアに回復魔法をかけてもらったから魔力を流してもらったってことでいいのかな、あれを自分の体に現すことができればいいだけか、あの不思議な感じを自分の体の中で自覚させないといけないのか


全身って言うぐらいだからイメージは血だな、魔力が血のように全身を巡る感覚の練習だ、魔力のない世界からきている以上雲を掴むような話だ

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落ちぶれかかっている我が家は俺が立て直す。 劉季邦 @yantaigan

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