第7話 後始末

 伊達邦子はアパートに帰ってから考えた。足がつかないように3代目PCXを明日にも廃車にして、4代目新型PCXに買い換えようと決意したのであった。


 今回の襲撃で使用したものはすべて廃棄する。

 防弾コートを始めにベレッタ92A1も、スプリングフィールド XD mod.2、XD mod.2サブコンパクトとはお別れだ。

 手元にはSIG P365とナイフしか残らない。さすがにこれだけでは心もとないので、武器の調達を検討する。


 翌日、邦子は学校には休みの電話を入れてバイク屋に直行した。しかし、新型PCXの納期は半導体不足により半年後らしい。新型のPCX125は一旦諦めて中古のディオZXを買うことにした。

「ディオ買います」

「通学で使うなら10万でいい」


 邦子は店員に原付の詳細を聞いていた。

 既に駆動系にはデイトナ製のハイスピードプーリーが取り付けられており、強化クラッチスプリングが組み合わされている。エアフィルターは新品のKN企画製、強化ベルトは定番のデイトナ製だ。デジタルCDiは通称 赤箱のパワーアドバンスを採用している。


 後期型の白いライブディオZXはかなり弄られた原付らしい。

「走りにこだわるならこれがいい」

「2日待ってくれれば引き渡せる。ナンバー登録はこちらで済ませるから」

「わかりました。では2日後に」


 バイク屋を後にした邦子は行きつけの拳銃ショップに行った。それは雑居ビルの地下にある。組織の手がかかっていない稀有な店だ。

 入口にカードを通すと自動ドアが空いた。カウンターには馴染みの店員がいる。黒いスーツで着飾った女性が。

「いらっしゃいませ。邦子さま。本日のご用命は? 」

「サプレッサー付きの拳銃が欲しい。選んでくれるかな」

「邦子さま、失礼ですが現在の愛用品はございます? 」

「シグザウァー P365」


 カウンターに立つ若い店員は邦子に拳銃を手渡した。

「私のオススメはスミス&ウェッソンの1911 Eシリーズ。サイレンサーとの相性がよい45口径弾を使用します。但し、弾数にご注意を」


 邦子はS&Wの1911を両手で構えて見せた。ノヴァク製の3ドットサイトはとても見やすい。

「気に入った。買うわ」

「他に欲しいものはございますか? 」

「私が欲しいのはトリガーの切れがよくて正確なやつ」


 店員はカウンターから2種類の拳銃を取り出した。

「でしたらワルサーPDP、ヘッケラ&コッケラーのVP9はいかがでしょうか? 」

「ワルサーがいいな」

「よい選択です。PDPはドイツ産の傑作でして」


 邦子はワルサーを空撃ちしてみせた。トリガープルの軽さに感動する。店員に組織の金貨7枚を渡した。

「スミスとワルサーを買うわ」

「どうか良い週末を」



 邦子は家に帰って、素晴らしい品々を眺めた。

 1911はサイレンサー装着が前提となる。

 メインはワルサーPDP、サブがSIG P365SAS。

 いずれもアメリカでの評価が高い一品だ



 これから飯島残党との戦いが始まるだろう。

 邦子の戦いは始まったばかりだ。

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伊達 邦子【完結】 一ノ瀬ミナト @RAM06

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