告発失敗(140字小説)

塩塩塩

告発失敗

社長室の前には大量の蟹が置かれていた。

『嗚呼、また失敗だ』

私は課長の犯罪を社長に告発しようと試みたが、またも巧みに口止めされてしまった。

怪訝そうな顔で私の横を通り過ぎる社長。

蟹の身をほじる私。

給湯室から、それを眺め笑う課長。

蟹食べ放題の前では、人は無口にならざるを得ないのだ。

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告発失敗(140字小説) 塩塩塩 @s-d-i-t

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