私は貴方の、貴方は私のチョコレート

砂上楼閣

第1話

2月14日は私たちの想いが通じ合った日。


一生忘れられない、貴方と私が一つになった思い出の日。


去年も一昨年もその前も。


どんなに離れてしまっていても、この日だけは一つになれる。


今年もまた一つになろう。


一生懸命作ったチョコレートと一緒に。


◇◆◇


私と貴方の出会いは雪の降った日。


あの日、1人で凍えていた私にくれた大きな手袋。


心まで冷え切っていた私に、貴方の手の温もりが力をくれた。


凍えそうな身も心も熱で溶かしてくれて。


心臓のドキドキが止まらなくて。


体中を巡る血が熱いなんて初めて感じて。


また貴方に会える事を夢見て。


必死に探して貴方を見つけて。


初めて作ったチョコはどうだったかな?


貴方と私が一つになった。


◇◆◇


貴方はとても素敵な人だから。


色んな女が貴方に近付いてくる。


話す姿を見るだけで胸が裂けそうになった。


心が乱れて、泣いてしまいそうだった。


けれど私は信じてる。


だって貴方は私と一つになったんだから。


私の心と体は貴方のモノだから。


ねぇ、私のココロはどんな味がした?


◇◆◇


どうしてかな。


私がいるのに、貴方の横にいる貴女は誰?


ねえ、どうして?


貴方と私は一つになったのに。


なぜ私を受け入れてはくれないの?


どうしてその人は受け入れるの?


やめて、一つにならないで…


…………。


貴方と一つになれるのは私だけ。


◇◆◇


ねぇ、あの時のこと、怒ってる?


怒ってるよね、あの日から貴方はひどく冷たい。


まるで貴方と初めて会った時の私のよう。


去年も一昨年もその前も…


冷たいままの貴方だけど。


大丈夫、私は貴方を愛してる


貴方から貰った隠し味。


一欠片の思い出を添えて。


心を込めたチョコレート。


ムラなく丁寧にかき混ぜて。


私の熱で綺麗に溶かして、固めて、一つにする。


これで貴方は私と一つ。


これで来年も再来年も何年も何十年も一緒にいられるね


私は貴方でできている。


貴方は私の中で愛を囁いて?


いつか最後の貴方が私と一つになったなら…


私の思いは成就するのかな?


ああ、私は貴方を愛してる。

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私は貴方の、貴方は私のチョコレート 砂上楼閣 @sagamirokaku

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