キミヒメ
かわはらゆめ
第1話
「ゆうって、なんで女子高行ったの?」
またこの質問か。
決まって言うようにしている答えがある。
男子が嫌いだから。
「男子が嫌いだか、、」
「でもそうだよね〜、ゆうみたいにさぁ、
顔も体もちっちゃくて目がキラキラしてる子が共学にいたら男子たち黙ってないよ。」
「そうそう!守ってあげたくなるタイプ的な!
共学きたら絶対モテるな。でも好きな人被ったりでもしたらゆうに取られそうで怖いわ〜。敵作っちゃうな。」
「めっちゃ分かる!!そもそもあの女子高自体ゆうみたいな箱入り娘のお嬢様が行くところだから、男に求める条件とかも私たちとは違うんだってば。医者とか公務員とかさ〜。」
「いやいや、私も一応ここで頭の良いイケメン狙って玉の輿夢見てますけど!次の授業って数学!?やばい予習してない!ゆうは?」
「私も。やんなきゃな、速水先生怖いし。」
「そうなんだよね、今からするか〜。じゃあまた後で!」
「うん、また後でね…。」
・・・
一気に静かになった。
小学生の頃に、男子からからかわれるのがうとましかった。
だから中学から女子だけの環境を選んだのに、担任から学校案内のパンフレットに載って欲しいって頼まれた時は、
「パンフレットに載ったからって自分のこと可愛いと思うなよブス!」
って、クラス一可愛いと思っていた子に言われた。
あまり良い思い出もないまま3年が経って、そのまま同じ場所で女子高生になった。
見慣れた校内の階段をのぼる度に、早く時が流れて卒業式が来れば良いのにって思うようになっていた。
ただ、
この塾で恋バナ好きなのんちゃんとまーちゃんの二人に出会ってから色んな男子の話を聞くようになったことが、今では唯一の楽しみとなっている。
モテようと思ったことなんて一度もない。
でも、もし私が共学にしていたら嫌なことから守ってくれる人に出会えたのかな…。
今までは嫌いって言っておいて、それは都合良すぎるか。
結局、予習に力が入らないまま授業が始まった。
キミヒメ かわはらゆめ @ronr
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