第3話 わたしはこなつ(3) わたしは舞妓さんになるの


お父さんは 大学出て、就職がなくて、パチンコ屋のアルバイト2年して 

建築の専門学校行かしてくれと言った 2級建築士の資格取って

またパチンコ屋でアルバイト そしたら今度は1級建築士目指すと云ったそうだ

「1級建築士の資格取って パチンコ屋のアルバイトせんやろなぁー」と

おじいちゃんが云ったら 「うん」と頷いたらしい。

「あいつは ひょっとしたら 大物になるかもしれん。慌てたとこがないからなぁー」と、おじいちゃんは云っている。

わたしが小学校2年、 おじいちゃんが最後に 

こたつと書いた お小遣いくれた年。


わたしは 弱い者いじめや不正を 黙って見過ごせないたち 

で、つい喧嘩を買ってしまう 「おじいちゃん似」らしい。

今回だって 黙って通り過ぎようと思った 

でも、いじめられてる子がわたしの目を見た やばい

あの3人だけは ゴメンだ でも口は反対だ

「やめたら 大勢で一人をやっつけるなんて 卑怯ものや!」

この卑怯が気に障ったみたい。トイレに連れ込まれ

ボコボコにされ トイレのたまり水まで飲まされた。


お父さんが 学校に一緒に行ってくれるという

あの ことなかれ主義のお父さんがだ。 

学校に行って 教頭先生にあったら

「きみいー、北風くんやないかぁー」

「先生!」

大阪のときの 担任の先生だった

お父さん 何にも言わずに帰って来た

自分のことは 自分でけりをつけるべきだと思った。

1対1なら負けない。3人、連れ持ってだからいけなかった

一人のときを見計らってやってやろうやないの。


好きな男の子? わたしを好きな男の子は5人はいるけど

みな 泣かされていたのを助けた男子ばかりだ。

そやのに 今回 見て見ぬふりしてた。

わたしは わたしを 助けてくれるような子が好きや

それを言ったら おねぇーちゃん「当分 無理やなー」と笑った。


おじいちゃんと歩いていて 急におしっこがしたくなって

銀行があったので 「ここのトイレでするぅー」と云ったら

そこはヤバイ、あそこの公園のトイレを使えと云った

何がヤバイのか 今持って意味がわからない。


わたしのゆめ それは祇園の舞妓さんになること

それを おじいちゃんに云ったら

「こなつの 舞妓さん見れる時まで 生きているやろか」

何だか淋しそうだった。


『こなつ』って名前が似合うでしょう。細い目だっていいでしょう。

舞妓さんがキューピーさんみたいに お目目パッチリだったら

おかしいでしょう。

おねぇーちゃんになれないものに わたしは なるの。

なんなら『こたつ』でもいいっか。


またね~!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

わたしはこなつ 北風 嵐 @masaru2355

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る