第2話 わたしはこなつ (2) わたしのお父さん
わたしはこなつ (2) わたしのお父さん
おじいちゃんが書いた文章があるらしい
こなつのことを どう書いてるか 知りたくて
読ませて欲しいと云ったら
「まだ早い、中学生になったらね」と、おねぇーちゃんは言った。
「まだ早い」は おねぇーちゃんのわたしへの 口癖だ
お父さんのことは どう書いてあったと聞いたら
「息子が一人いる」だけだったと云った。
それではお父さんが かわいそうなので
こなつが お父さんを語ります。しばらく 聞いてね。
お父さんは 背が高い 1メートル80はある。体重もでっかい
相撲が好きで 水戸泉とかの力士が好きで
高校生のころ 大阪場所がきたら けいこ場に見に行ってたそうな
あるとき「ぼく そんなに好きだったら 相撲取りにならへんか」
と、誘われた。
「ぼく、からは大きいんですが 全然力がないんですわ」と
情けない返事をしたと おじいちゃんは云っていた。
お父さんは めったに怒らない 夫婦喧嘩も 見たことがない
だいたいお母さんが何も小言を言わない。
男の人が怒るとか 手を出すとか言うけれど 女の口もたいていのもだと
おじいちゃんが 言っていたけど こなつもそう思う。
おばぁーちゃんの口に勝てる人は めったにいない
それで、おじいちゃんは怒る。
おばぁーちゃんは
「ああー、あの人は勝手に怒る人。 かわってるわねー こなつ」と言っていた。
だから、お父さんは おばぁーちゃんに逆らわない
いつも「ハイ、そうです 分かりました」
お母さんは おばぁーちゃんに西を向けと云われたら
いつまでも西を向いている人 腹の中は 何を考えているかしらんけど
そんなわけで 喧嘩と云ったらおねぇーちゃんとわたしぐらい
おねぇーちゃんは 年上のくせして 喧嘩したらお父さんに言いつける
怒られるのはわたし。「こら、こたつ」で終わるけど。
お父さんの話だっけ 1級建築士で 自分で事務所を開いている
1級建築士か 凄いと人は言うけれど 今は仕事も少なく
建築学校の先生のアルバイしているし 事務所と言っても
自宅マンションだ。
お母さんのお仕事がないとやっていけないみたいだ
お母さんは銀行に勤めている。入ったときは田舎銀行だったが
今では滋賀県を代表する銀行になって 今ならとっても入れないと
銀行のお仕事を大事にかんがえている。
おねぇーちゃんは優等生 わたしは 普通生
オール3は劣等生ではない
通知表見て「上がらんなぁー」と お父さんが云ったので
「下がらん努力も認めてください」と言っておいた。
***
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